3台目は東通工(現SONY)の 202 型テープコーダーでベルトが切れている様とのお話だった。 こ
の種の機器の修理に付きましてはこちらの ホームページ https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ からお問
い合わせ下さい。
数年前にTBSで放映された日曜ドラマ【南極大陸】用に似た物をレストアしたが、その元々の目的
は南極、昭和基地との無線通信に(電波法上) 直接家族が携わる訳には行かず、一度録音した
家族の声を飽くまでバックグランド・ノイズとして隊員に伝えると云う為のものでした。 【余談】
Rew. 用のベルトは欠損していたもののキャプスタンもゴム・ローラー(プーリー)も交換されてお
り機構系は殆ど問題が無かったが、手が加えられていた配線は可也酷いものだった。
ゴーサインを頂いたのでレストアに取り掛かった。
切れていると先に進めなくなるので録/再と消去の両ヘッドの導通を先ず確認した。
電源のブロック型ケミコンの代わりに空中配線でケミコンが数個使われていた。 絶縁の為にビニ
ールテープが巻かれていたが高圧が加わる部分なので褒められた方法とは云えない。
この様な修理方法は採りたく無いのでブロック型のケミコンを組み込み、次いで配線を追った。
出力トランスの1次側が断線していたが手持ちの物が二回り程大きいので明日にも購入して来よう。
今日は時間切れとなって仕舞ったが購入しようとしたトランスを部品屋さんのホームページで調べ
たところ手持ちの物と同一サイズだった。 今回切れていた出力トランスは近年の標準的な物に比
べると二周り程小さい(巻線が細い?)為現行の物では大き過ぎて取り付けられない。 仕方無く
上下のシャーシ間を繋いでいる支柱(鉄板)を加工し出力トランスを固定することにしたが疲れた。
6月30日 電源周りの回路を直し、使われているペーパー・コンデンサを診てみた。 上の画像に見
られるのは入力段のg1に繋がっている0.05μFだが碍管を外装に使った物としては珍しく絶縁の劣
化が診られた。 こうなるとこの種のコンデンサを全て当る必要が有る。 尚、入力段はマイクロフォ
ニック・ノイズを防ぐ為に生ゴムのブッシングを使ってシャーシから浮かしてあった。(近くにスピーカ
ーが在るので可也シビアな環境と云える) リード線にもリッツ線の様な柔らかな物が使われていた。
*上の画像では入力のリードが断線している。
ペーパー・コンデンサは自動的に交換するかとも考えたが絶縁に問題の無い物はそのまま使うこ
とにし、チューブラー型電解コンデンサのみ全て交換した。 抵抗も回路図通りとし2個を交換した。
7月1日 作業中、製造年月日と想われるスタンプが見付かった。 1957.6.27 (昭和32年6月27日)
部品交換を終え先ず再生動作を確認したが以前録音されていたものが良好に再生できた。
次いで録音機能を診てみたが全く録音は出来なかった。 その後原因はバイアス発振回路が機
能していない為と分かり、調べた結果誤配線が一箇所が見付かり、修正後上手く機能した。
Rew.用のベルトを加えキャビネットに組み込み最終試験を行った。 若干ハムが気になったが出
力トランスと電源トランス間の距離が若干縮まった為か? 電源トランスには漏洩磁束を抑える
ショート・リング付きなので殆ど影響しないハズなのだが?(特に問題になるレベルでは無いが)
当初作業時間は4~5時間程だろうと想像したが、終わってみると7時間を超えていた。