昨年TBSで放映されたTVドラマ【官僚たちの夏】の小道具としてマイクロTVを14台貸出し、ま
たラジオの生産ライン用に今回のAFM-152を4台貸出した(昭和30年代のラジオで数台在庫
していたのはこの機種だけだったので)。 その際の名残で名盤はドラマに登場するオーサワ
ムセンとなっている(この名盤の下には無論SONYとある)。 この種のラジオの修理に付きま
してはこちらのホームページからお問い合わせ下さい。
今回のAFM-152は何と云っても自動選局機能が特徴だが他にエサキダイオード使用と云う点
も大きな特徴と云える。 エサキダイオードと云うとEFM-117(日本仕様は後年発売されたEFM
-117J)が有名だがこの機種にもFMのミキサーとして1T-13が使われている。
回路はインピーダンスを低くする目的か珍しいバリL(インダクタンス分を機械的に変化させる)方
式が使われており自分が知る限りEFM-117とこの機種にしか採用されていない。下の画像に見
られるのがLとなる円盤状の金属板で、上の画像の摺動子で円盤のエッジを拾う形となる。
自動選局が機能しておらず駆動(モーター)部分を診てみたが問題は見られなかった。
しかし使われている遊星ギアの動きが可笑しい(モーターは回り下の画像に在る右のギアは
回転するのだが左のギアが回転しない?(無負荷なら一応回転するが))
7月29日 昨日今日で3台のAFM-152に取り組んだが3台全てFMは機能していなかった。 上の
上の画像に見られる様、エサキダイオードの頭部を赤く塗っておいた。 FMが機能しない最初の
問題は下の画像に見られる様Lを構成する円盤のエッジに発生した緑青で下の画像は未だ症状
は軽いが実際は可也緑青が目立っていた。
円盤側の緑青を細かく取り除き、摺動子側の板バネの接触部分も丁寧に磨き最早接触不良は
無いハズだがFMのフロントエンドは3台中2台が機能しなかった。 局発は問題無く発振してお
り混合を担っているエダキダイオードに問題が有りそうと想えて来た。
7月30日 4台目に取り組んだがこの機種のFMのフロントエンドも機能していなかった。 Mix
に使っているエサキダイオードに原因が有りそうだが代りをどうするかが問題だ サテ........
8月1日 4台目(日本仕様AFM-152J)のFMのフロントエンドのエサキダイオードを単体で調べて
みた。 想像通りオープンとなっていた。 下の画像の下部に見られるのがエサキダイオード。
他のダイオードでどの様に機能するのか先ず手始めに規格の良く分からないGeダイオードで
試してみたが上手く周波数混合が為されていた。 ショットキーバリアでも確かめてみよう。
8月2日 他の2台も同様にエサキダイオードがオープンとなっており適当なシリコンダイオードを
使ってみたが良好に周波数変換は為された。 エサキダイオードの必要が有ったのか甚だ疑問。
8月5日 何時もの部品屋さんで0.5φのポリウレタン線を買って来(元の物は0.6φ?)た。 米国
バンドを日本バンドに変える為これまでより1ターン加えたコイルを3個用意した。
そのままではインダクタンスが大き過ぎた様なのでピッチを広げ好結果を得た。
8月6日 唯一エサキダイオードが生きていた米国バンドの物を日本バンドに改造しようとコイル
を交換したが何とも動作しない。 調べたところエサキダイオードがオープンとなっていた。 エサ
キダイオードの材料を知らないがGeなのだろうか? 可也熱に弱い様で別のダイオードに交換
したがそれでも動かない? サテ今回のフロントエンドは何とも脆弱でイライラさせられる。
目下機能していない2台のフロントエンドはその症状から推し測って1台は局発のトランジスタ、
またもう1台はRFのトランジスタに原因が有りそうだがこれらに使われている2SA166は最早手
に入らず何を使うか?
8月7日 先ずは局発が動作してない物に取り組んだ。 幸い略規格が同じ2SA164が2個見付
かりトランジスタを先ず交換した。 何も変化は無くパターン面に在るコンデンサを交換してみた
が全く変化は見られなかった。 気分を変えるべくRFが機能して無い方に取り掛かった。 先程
取外したトランジスタ2SA166のhfeを測定したところ良好だったので、これに交換したところ上手
く動作しだした。 先の物が動作しないままだが残るのは部品面に在るコンデンサのみなので
近々交換してみよう。
8月9日 アレコレ試みたものの何としても発振してくれない。 今晩基板を洗浄するものも買っ
て来たので明日は発振回路に絡む全ての部品を外しバラックで動作を確認してみよう。
8月10日 パターン面を先ず洗浄剤で洗い発振部付近の半田のフラックスを取り除
いた。 バリLと付属コイルの代わりにQの大きなコイルを用意した。
電源を接続したところ良好に発振し、発振勢力も予想よりズット大きかった。
本来の回路に戻し、実際に機能させてみたが問題無く動作してくれた。 これらから
すると半田のフラックスが悪さをしていた様に想えるが初めての経験となった。
8月14日 2台目の組み立てに取り掛かったが何とも面倒な構造で泣かされた。 しかし4台が
4台共細かいところで構造が異なっている。 多分次々と改良が加えられたのだろうが生産数
量の少ないこのモデルではしょっちゅう仕様変更がなされ現場は大変だったろうと想像出来る。