今日修理の可否に付いてお問い合わせを頂いたのは Philco, 39-55RX 1939年製の中波(8 周
波数プリセット可能)受信機でプリセット切替には何と無線リモコン (Mystery Control) 制
御のモーターが使われている様だった。 39-55RX と姉妹機種 39-116 (中波+短波)が一つ
の資料の中に記されている為各々の仕様がいまいちハッキリしない。 この種の受信機の修理
のお問い合わせはこちらの HP http://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ (新) にお願い致します。
画像は Radio Museum の物をお借りしたが添えられていた情報では中波のみで 8周波数が
リモコンで選択出来るとなっていた。
10月2日 ご依頼主から送られた画像2点を加えた。 一応真空管は点灯し、VRをいじると
ガリが出るとのことでスピーカー(フィールドタイプ)は生きている様だった。
Mystery Control と呼ばれるワイアレス・リモコン。 使用されている真空管は 30 単球で発振
周波数は 300~400KHzの様だった。 電池は 3V+45V でアンテナは特に無く内部に巻かれた
発振コイルが使われている様だった。
10月5日 今回のシャーシーが届いた。
一部のペーパー・コンデンサは米国で交換されていた。
想像通りゴム引きのリード線は傷みが激しかった。 また一部のブロック型電解コンデンサ
が破裂?していた。
スピーカーを本体に残して来たので+B電源が入らずコネクタのピンを調べ始めた。
次いで音量調整の VR を探したが回路図では㉑の部品がそれだが、下の図に記されている様
モーターで制御される物でつまりワイアレス・リモコンが必要となる。 困った!
テッキリ前面パネルの左側の2個のツマミの片方が音量調整かと想像していたが実際は音質調
整の様だった。 類似機種の YOUチューブ画像では確かにリモコンで音量調整をしていた。
フィールド・コイル代わりの 1KΩを加えた。
リップルが大きかったので破裂?していた電解コンデンサ 25μF ㊵ に 33μFを加えた。
それでも尚リップルが多く、低周波段のゲインが少ない様だった。 先ず電源回路要修理。
前面右のツマミ 二つは内側が同調、外側が手動選局/プリセット選局の切り替えだった。
局発は機能していたが受信には至らなかった。
先に進む前に基本的な真空管の gm 等の測定に取り掛かった。
リモコンの受信部の物を除き 6J8G:P42/25, T30/13, 78:47/36, 6Q7G:28/20, 25-36/40, 42:76
/50.80/50. 80 51-48/40 と 6Q7G の2極管部のエミッションが最低値を大きく下回っていた。
次いで IFT の各巻き線の抵抗値を診て見たが全て良好だった。
10月6日 昨日ご依頼主に各調整部分の説明がどの様に記されているのかを伺った。 結果正
面左の二つは (最左) 音質、(その次) ON-OFF 音量と伺い解せなかったので回路図等を持ち帰
った。 回路図だけでは理解が困難だったが分かって仕舞えば左から二つ目のツマミでに連
動しているスイッチは上の部品番号 56 で、このスイッチでモーター 51 の回転を制御してい
る様だった。 つまり電源の ON-OFF また音量調整はこのモーターで為されている。
モーターが回らないことには電源の ON-OFF も音量調整も出来無いのでモーター回路に取り組
んだ。 ところが電源を入れてもモーターのシャフトは内部で前後に移動したが回転はしなかっ
た。念の為 AC120V 入力でも確かめてみたが変化は無かった。 ならばと回路図に在った 30μF
(交流回路で耐圧不明) の代わりに 33μF/350V を添えた結果良好に回転して呉れた!
これで難関の一つはクリアー出来たので絶縁劣化が想像出来るペーパー・コンデンサ、容量抜け
が想像出来る電解コンデンサを交換した(ブロック型はそのままシャーシに残した)。
午前中、根を詰めて作業をしたので一休みとした。(作業机が満杯状態なので開けた)
10月7日 モーターの制御回路に疑問は残っているが駄目元で通電してみた。コンデンサ類の交
換が功を奏した様で、嬉しいことに良好に動作して呉れ想わずご依頼主に電話をして仕舞った。
10月8日 発送の前にモーター部分の減速機構の画像を撮っておいた。
上下のリレーはワイアレス・リモコンの制御用の物でサイラトロン 2A4G でドライブされている。
パイロット・ランプが点灯していなかったがソケットに問題が在りそうだった。
ズット疑問に感じていたのは電源の ON-OFF と音量を制御する接点で、下の 56 の部分がそうだ
が上の図では Model 39-55 では 上から 47-56-25 と記されているがこれらに繋がってはいない
様に想えた。
左側の二つのツマミの内側が制御用のツマミでギアで増速されていた。
実際の接点の画像。
結果想像通り、接点に繋がった緑と褐色のリード線は上の画像の(電解コンデンサを2個直列に
した両端)に繋がっていた。