先日ネットオークションで見付けた物が少し前に届いた。 この種のテレビはもういらない
と想いながらついつい買って仕舞う困った病気は中々治りそうに無い。 今日の物は昭和
30年に発売されたTV-350、70度偏向のフルトランスモデルなので可也の重量が有った。
未だエミションは不明だが14HP4のヒーターは点灯していた。
昭和30年製の様なので多分6Ch仕様と想像していたがオリジナルは6Ch仕様だった。
当然だが使われているコンデンサは見るからに劣化していた。
チャンネル・セレクターを細かく診てみると2-6は元々エンボス加工が為されていたが
1,8,10は後から足された(彫刻された)様な感じだった。 下に見えている10Ch用の
セグメントはハッキリ他の物と異なっていた。 近々レストアに取り掛かろう。
2月16日 AF回路以外のペーパー・コンの交換を追えコイル、トランス類の導通を診て
みたところピーキング・コイルの一つに断線が診られたので修理に取り掛かった。
イヨイヨ通電してみたがラスターが出ない、イオン・トラップも動かしてみたが変化は
無く、高圧整流管のプレートには高圧が加わっていたがCRTのアノードでは放電が
起こらなかった。
高圧整流管1X2Aのエミッションは十分だったのでフィラメント巻き線の半田付けが
外れてしまったのかと高圧のケージを外し近くで見てみたが問題は無かった。
高圧プローブを使って高圧出力の電圧を測ってみたが約5KVしかなかった。 そうこ
うする内にプレートでは問題なくアークが飛んでいたのが飛ばなくなって仕舞った。
どうも電源回路のケミコンをそのままとしていたのが問題の気がしたので明日は思
い切って交換してみよう。
2月17日 AF以外のケミコンを交換し再度通電した。 最初問題なく高圧もプレート
では出ており、出力側の電圧も12KV程度に上がった。 ただ未だラスターは見られ
ず暫くして高圧も出なくなった。 水平の発振を行っている6SN7と同期分離を行って
いる6SN7を交換したところ再び高圧も出始めた。 全ての真空管のgmとエミッショ
ンを先ずチェックしておいた方が良さそうだ。 しかし加速電圧が12KVあるならラス
ターが出ても良いハズなのにとCRTを一昨年7月にチェックした 14WP4 に交換して
みた。 1本目は何故かヒーターが点灯せず、ヒーター・ピンの半田付けをやり直して
みたが導通はあるものの点灯しないので2本目に替えた。
ヤットうっすらラスターが出始めたが何とも輝度が低い。 色々確かめたところコントラ
スト用VRに問題が在りMaxの位置で光出したのが下の画像。 どうも同期も取れない。
水平の発振トランスを調整し一応画像は出る様にはなったが同期が取れ無いのは
そのままで、明日にもgmを計り、交換してみよう。 それとコントラストVRも直してみ
よう。 偏向サイズが小さいのは70度偏向用のヨークを90度偏向のCRTで使ってい
るため。
2月18日 音量/コントラストを担当している2重VRの修理に取り掛かった。
2月19日 ボリューム(音量1MΩAと、コントラスト1.5KΩC 1955年11月製)の修理は上手
く行ったがスイッチ部分は直る可能性が低かったのでリベットを外してまで内部を見ること
はせず別のスイッチを使うことにした。 数年前、吾妻橋の鰻屋さんAさんから同様の物を
二つ頂いたのを何処に仕舞い込んでしまったのか。
しかし14WP4では良好に映像が出力されたが14HP4では何とも出ず、同じ70度偏向(電
磁収束の点は異なるが)昨年DuMontのテレビの修理の際に使ったMullardのMW36-24
を使ってみた。
何とも解せないので久しぶりにCRTチェッカーを引っ張り出した。 良好に機能した物は確
かにこのチェッカーでも問題無い値を示していたが先の MW36-24のアノード電流は非常
に少なかった。 また14HP4も最初非常に小さな値だったがヒーター電圧を一割程上げ暫
くアノード電流の変化を診てみたところ若干増えだしたのでこの辺りで良いだろうと云うと
ころでキャビネットに組み込んでみた。
イオン・トラップの位置が違っていたがやがて光だしたのが下の画像。 何とも眠い画質
だが14HP4すなわちメタライズ(メタル・バック)は為されておらず、後年のメタル・バック
の物に比較すると輝度、コントラストが低くどうしても見劣りする(当時テレビは部屋を暗
くして見るのが常だった)
2月23日 昨日洗っておいた前面パネル部分を組み立てた。 また昨日チューナー
部分の微調整を行った際気になった1Chをどうするか迷っている。
上から2Cn、不明(11Ch?)、10Ch用の各セグメント。 無くなっていた1Ch用としては11Ch?
用を改造するのが良さそうだった(アンテナ・コイルに並列に10pFを加える必要が有るので)
ついでに先日急に水平の発振が停止した6SN7を診てみた。 ベースのピンのところで
半田付けが不完全になったのかと想像したがそうでは無く、カソードの引き出し線(リボ
ン状)が切れていた(上の画像の中央より少し右上)。
1Ch用の物を作り動作させてみた、調整が未だなので100点満点では無いが特に問題
無く動作しこれで電気的なレストアは全て終わった。 後はツマミのレプリカと前面の蓋
だがこれらはそう簡単では無いので時間をみて取り掛かろう。