今日お預かりした2台目は (英) Plessey の PR155 で最近まで問題無く動作していたのだがとのお話だった。
この種の受信機の修理に付きましてはこちらの ホームページ https://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ からお問い
合わせ下さい。
上部のカバーを固定しているビス(右端)が無くなっていた。
PLL を使った回路構成の様だがマイクロ・プロセッサや LSI を使った物では無いので近々取り組もう。
9月26日 昨日は添えて頂いたこの機種の資料を持帰り机上でチェック・ポイントの見当を付けておいた
のでそれに従って動作を確認して行ってみよう。 しかし添付のブロック・ダイアグラムは理解が難しい。
先ずは 1MHz Osc.の出力を診てみた。 確かに 1MHz.の信号成分(下の画像のピーク)も出てはいるが?
次いで確認した 1st Loc.の信号で約2.5μSec.(40MHz) を下端に1秒周期程で常に変化していた。
この周期で低周波出力にはプツプツと云った出力が出ていた。
ならばと外部から信号を加えたところ31.23MHzでラジオ日経を受信したが実際の受信周波数は不明。
外した1st Loc.基板。3番端子に-16.5~-13.4V程度の鋸歯状波が加わっており、この信号で発振周波数が
変わる様だったが、添えて頂いた回路図綴りには繋がるハズの Turret Comp.3 の回路図が何故か無い。
下はラジオ日経でのSメーターの状態だがMHzセレクタを5~8MHzと変えても、またKHzセレクタをいじっ
ても何の変化も生じない。 各部はユニット毎に分かれており全体の回路が掴めない。 何とも疲れた!
昨日はブロック・ダイアグラムで回路を追ったが、今日は取り説に記された各ユニットの機能に関する記
述から追ってみた。 先ず今日31.23 MHzを外部から印加しラジオ日経を受信したが、この機種の1st IFが
37.3MHzからすると6.07MHzとなり6.055MHzを受信していたのだろう。 しかし読み進む内に記述にある各
ユニット名とブロック・ダイアグラムで使われているユニット名の間に可也の違いが在った。 またこの機種
で最も重要となるPLLに関するユニットは記述にはアレコレ登場するがブロック・ダイアグラムにはそれらが
全く登場して来ない。 故意にそうしているのだろうか? 今日動作が可笑しいと感じた1st Loc. Osc.は今
流に云えばVCOで、本来の形では無いと感じた鋸歯状波はVCO制御用の信号の一つで本来は位相比較
後の或る直流電圧が加わるハズ。 VCOは二つのバラクタ・ダイオード(バリキャップ)と Saturable Reactor
可(過?)飽和リアクターで構成される共振回路から成るハートレー発振回路で、バリキャップ用とリアクター
用の2種類の制御電圧が使われている。 しかし各ユニットを繋ぐ部分はブロック・ダイアグラムにしか記さ
れておらず全体の結線が不明と云うのは致命傷と云える。
Turret Comp 3 を構成している 3枚の基板。
10月1日 この何日かマニュアルを持帰り各ユニットの機能に付いて読み進めた結果動作がおぼろげなが
ら分かって来た。 今日は知人のMさんにも手伝って貰い最も動作が怪しいと考えていた PLL回路 (Turret
Comp.3) の動作を細かく診てみた。 結果 Phase Detector の出力が無く、回路を徐々に追ったところ何と
電源電圧が加わって無かった。 結果から申せば上の画像に在るRFC (100μH、回路図には記載無し) が
断線していた。
ここを修理した結果、動作がドラスティックに変わり上の画像に見られる様良好に機能した。 しかし疲れた!
10月2日 電源入力の設定が240Vだったので昇圧トランスを使わなくとも良い様100V設定に直した。
10月4日
10月15日 Mさんに手伝って貰い回路を追った。 第二IF(10.7MHz)以降は動作していたがどうもRF Amp.が
機能しておらず、回路を調べ様としたところ先ず電源回路の動作が可笑しかったので調べ始めたが今日は
時間切れとなりMさんが持帰り調べてくれることになった。 イヤハヤ可成り難航しそうな気配が漂って来た。
10月18日 Mさんが電源回路を細かくチェックしてくれ抵抗 (R3) 4.7KΩが当初オープンとなっていた為
電圧の制御が不可能になっていたとのことだった。 この抵抗は不安定でその後正常な値となった様だが
交換し、長時間のランニングもして頂いた。
10月21日 Mさんが取り組んでくれた電源回路を元に戻した(この回路単体の回路図は在るのだが、この
回路がどの様に接続されるのか記されたブロック・ダイアグラムは文字が小さく(不鮮明)で読めず難航す
ることになった)が単体では良好に動作したとのお話だったが実機では電圧が21V程と何故か可笑しい。
10月23日 回路が気になり朝早く目が醒めて仕舞ったので何時もより1時間半程早く仕事場に着いた。
他にも電圧制御用のトランジスタがどこかに在るのでは無いかと云う見方をした結果上の水色のカバーの
中に在るのでは無いかと想われた。
想像は的中し何とか取り出した。
想像通りE-C間はものの見事に短絡していた。 OC35の定格を知らないが同様と想われるゲルマ・タイプ
のトランジスタを探してみよう。
パワートランジスタを虎の子の2SB252Aに交換した。 (多分46-7年前に入手した物だと想う)
電圧を-15Vに調整した。
通電したところラジオ日経(6,055KHz)が飛び込んで来た。 しかしバンドを切り替えたところ動作しなくなり
一度 Stand By モードにした後 ON すると問題無く動作した。 電源電圧をもう少し高くすれば解決するか?
次にMWの1,244KHz 日本放送を聴いてみた。 その後TBS (954KHz) を聴きながらこの文章を記してい
るが既に通電後2時間近くとなる。 RF/IF Gain で動作(感度)が変化しないのが次の課題となった。
電源電圧を-16.1V程度まで上げた結果バンド切替時も略問題無く動作する様になった。 因みに前回お預
かりした際は-16.5Vだった。 次にRF/IF調整が機能しない点に取り組んだ(ハッキリしないが前回はここも
機能していたと想う)がアレッとなったのは下の画像に見られるAGCスイッチが中程で二つに割れていた。
(下の画像は極力本来の形に戻した後) RF/IFのゲイン調整電圧はこのスイッチ経由なのだがどうするか?
10月24日 昨日は最後に7MHzのハムバンドを聴いてSSBの復調具合を診てみたが非常にスムーズだっ
た。 今朝も引き続き7MHzの動作を確認し梱包に移った。 しかし今回のモデルはPR155Gとこの機種の後
期の物と想われる。 この機種のサービスマニュアルはインターネットでも数機種の物が手に入るがサフィ
ックスを合さないと可成り回路が違っているので注意が必要。 ところで先日久し振りに訪れた横浜のジャ
ンク屋さんに同型の物が在り驚いた。 委託販売の物で細かいことは分からないとのことだったが Marine
Receiver MR1402 SAIT と記されたラベルが下の画像に在るラベルの上に貼られていた。 パネルの文字
に消えている部分もあり、ツマミも2個の一部が欠けていたりと余り綺麗とは云えない物だったが、ドライバ
ーを借り内部も見てみたが内部は可成り良好だった。 価格も手頃で正直可成り迷ったが無理は止めた。