一昨日から続いております
JAしみず様による「野菜ソムリエのための学習会 第3弾」のレポート。
最後は折戸なすについて書かせていただきます。
折戸なすは、ひとつ200g~230gで出荷される
丸型のなすです。
味は濃厚で、肉質は緻密でなめらか・・・。
大好きななすです。
でも、生っているのを見るのは初めて!!
ガラス温室内は、午前中だというのに30度はあったでしょうか?
まず、驚いたのは一般的なナスに比べて、葉が大きいこと!!
そして、とげも鋭いのです。
見学者が怪我をしないようにということもありますが、
なすの成長を守るためにも、
長袖着用と再三言われた意味がわかります。
折戸なすの歴史は古く、
徳川家康公が駿府に在城中、清水の折戸から献上されたと
「折戸村 柴田家文書」にも記載があります。
しかし、江戸時代にガラス温室などありません。
油紙障子で温床を作り、馬糞やわらを発酵させて温度を取るなど
ずいぶんと手間をかけないとなすはできませんでした。
献上されていたなすのサイズを再現したものを
見せていただきました。
なんと、この中の一番小さいもの(巨峰くらいのサイズ)が
献上されていたのです。
5個を一籠に詰めて、全部で100籠。
当時、1個一両と言われていた、小さな小さな折戸なす。
今で言うと、10万円の価値があるそうです。
大政奉還後、献上は無くなりましたが、
15代~17代将軍の時代は、直接お宅に贈呈に伺っていました。
しかし、明治時代に入ると、いつしか忘れ去られ、
折戸なすの栽培の名手であった柴田家からも
種は消えてしましました。
しかし、三重県茶業試験場に折戸なすの種子が保存されていることが判明。
それを100粒蒔き、そこから種を取り、平成17年に栽培が復活。
平成19年から三保・折戸地区で徐々に出荷が始まりました。
現在、生産者様は9名。
説明をしてくださった遠藤さんは、こうおっしゃいます。
「今の技術をもってすれば、15t~16tは採れるはず。
しかし、12t以上はいかない。
でも、急に上昇した作物は飽きられるのも早い。
折戸なすは、ゆっくりと上昇していけばよい。」
折戸なすの出荷は、5月の中旬には始まっています。
なすは、夏の作物ですが、
夏場のガラス温室は大変な暑さで、
また、紫外線が乱反射することにより、
紫色がきれいに出ないという問題もあります。
だから、できるだけ早い時期の出荷を心がけているそうです。
一度途絶えた在来作物。
そこに携わる方々のご苦労とご努力が、
つややかで丸々とした、味の濃い「紫色」を復活させました。
忙しさに追われ、つい気持ちが殺伐となっていましたが、
ゆっくりとじっくりと前に進むことの大切さを
折戸なすが教えてくれました。
「野菜ソムリエのための学習会」を企画してくださったJAしみず様、
折戸なす生産者の遠藤様、
フジエス枝豆委員会の斉藤委員長様、
心から感謝申し上げます。