透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「初雪」モーパッサン

2020-07-09 | H ぼくはこんな本を読んできた

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 小学生のころはジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』や『海底二万里』、『八十日間世界一周』、『地底旅行』などの作品(子ども向けにリライトされた作品だったのかもしれない)を読んではいたが、外で遊ぶ方が好きだった。

中学生の時に松本清張の『砂の器』を読んで、読書好きになり、その後『初雪』モーパッサン(角川文庫1972年16版)なども読むことに。

モーパッサンと言えば長編の『女の一生』が知られているが、短編も数多く残している。『初雪』は、この文庫でわずか15頁の短編。この記事を書き始める前に読んでみた。

秀作だとぼくは思う。こんなに短くてこんなに深く女性の心理を描いてしまうとは・・・。未読の方には一読をおすすめします。


この頃の角川文庫にも紐の栞が付いている。


「家郷の訓」宮本常一

2020-07-09 | H ぼくはこんな本を読んできた



 「ぼくはこんな本を読んできた」 処分しないで残した文庫本の内、パラフィン紙のカバー付きの古い文庫を続けて取り上げようと思う。で、今回は『家郷の訓』宮本常一(岩波文庫1984年第2刷)

ぼくはこの文庫をかつて松本にあった書店「遠兵」で1986年1月に買い求めている。そうか、この頃の岩波文庫にはまだパラフィン紙のカバーが付いていたんだ。ただし紐の栞は付いていない。新潮文庫や角川文庫はどうだったんだろう・・・。

巻末の解説に次のような件(くだり)がある。**この本は、生活の書である。そして学問の書である。年齢や生れた地方の如何を問わず、この本を読む人は、自分自身の体験や生活を内省して、自らの成長の過程や、子どもの育て方、孫との接し方、地域活動のあり方、地域行政のあり方などを具体的に考える上でのヒントを得るであろう。
『家郷の訓』は、民俗学、子ども学、子ども史、教育史、教育学、文化人類学などを志す人びとにとっては必読の古典である。**(279、280頁)

解説にある通り、この本は読む人の年齢を問わない。名著とはこのようなものだろう。