透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「ロウソクの科学」ファラデー

2020-07-01 | H ぼくはこんな本を読んできた

 昨年(2019年)ノーベル化学賞を受賞した吉野 彰氏が小学生の時に熱中した本として挙げたファラデーの『ロウソクの科学』が話題になった。担任の先生からこの本を薦められて読み、化学に興味を持つきっかけとなったとのこと。



書棚に残したおよそ250冊の文庫本の中に『ロウソクの科学』ファラデー(岩波文庫1973年第44刷)が入っている。昔の文庫本はパラフィン紙のカバーがついていた。懐かしい。そのカバーを外して写真を撮ろうかとも思ったが、そのままにして撮った。

巻末の訳者附記には**これは一八六〇年のクリスマスのお休みにファラデーが(中略)特に少年少女のために六回にわたっておこなった講話を速記してウィリアム・クルックスが編さんしたものである。**(123頁)とある。

吉野氏は小学生の時に読んだそうだが、私は20代の時に読んだ。水色のテープがこのことを示している。名著は再読に耐える。書棚に残しはしたが、私にその機会があるかどうか・・・。


2020.04.28の記事再掲


「死の棘」島尾敏雄

2020-07-01 | H ぼくはこんな本を読んできた

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「ぼくはこんな本を読んできた」 今回は『死の棘』島尾敏雄(新潮文庫1981年発行)。奥付に発行が昭和56年1月25日と記されている。ぼくはこの本を発売直後の同年1月31日に大学生協で買い求めている。

例によってカバー裏面の本書紹介文から引く。**思いやりの深かった妻が、夫の〈情事〉のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻。ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?――ぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。**

なぜ当時20代で独身のぼくが発売と同時にこのような内容で500頁を超える長編小説を買い求めて読んだのか、今となっては分からない。

再読? たぶんしないだろう・・・。