■ 減冊後に残った文庫本は約250冊。その中にはパラフィン紙のカバーがついた古い文庫本が何冊かある。『物の本質について』ルクレ―ティウス(岩波文庫1977年第11刷)もその内の1冊。パラフィン紙のカバーを外して出てくる表紙と帯は意外なほど劣化していない。ぼくはこの文庫本を国立駅前にあった東西書店(*1)で1978年8月19日に買い求めている。42年も前のことだ。
**雄大な叙事詩風六脚韻にエピクロス的自然観を盛りこんだ哲学詩。古代思想の異彩たるこの派の原子論的唯物論の無比の文献である。** 青い帯にこのような紹介文があるが、このようなとっつきにくい内容の本をぼくは本当に読んだのだろうか。
当時は今以上に何でも読んでやれ精神が旺盛だったのかもしれない。
*1 国立の東西書店は2015年8月31日に閉店してしまった。ぼくの古い記憶に符合する書店が無くなってしまったのは実に残念だ。