透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

火の見櫓が出てくる文学作品

2020-07-17 | A 読書日記

 紀行作家としての宮脇俊三さんの作品ではデビュー作の『時刻表2万キロ』(河出書房新社1978年)が有名だが、私は他の作品も読んできた。北 杜夫の隣の住人ということにも親しみを感じていた。宮脇さんが北さんに隣の土地を紹介した、と何かで読んだ。

以前火の見櫓が出てくる文学作品を挙げたが、宮脇さんの『旅の終りは個室寝台車』(新潮社1984年発行)に収録されている、山陰本線を門司から福知山まで18時間もかかる鈍行列車の旅「にっぽん最長鈍行列車の旅」にも出てくることに気がついた。

 

以下にそのくだりを引用する。**益田を過ぎるあたりから石州瓦が目立ってきた。光沢のある赤褐色の瓦である。「赤褐色」では言い尽せない、もっと渋くて艶めかしい、いい瓦で、これを見るたびに、ああ石見に来たなと思う。
白い漁船が数隻繋留された小さな漁村がある。石州瓦の家々が軒先を重ねるようにして肩を寄せ合っている。わずかな空地に火の見櫓が立ち、その下で子どもたちが遊んでいる。亡くなった谷内六郎さんの絵を見る思いがする。**(20頁)

宮脇さんも車窓を流れる風景に火の見櫓を見つけることがあったのか・・・。それにしてもすばらしい観察眼。やはり紀行作家の眼は違うなぁ。


 

 


Go To トラベルはトラブルのもと?

2020-07-17 | D 新聞を読んで

 新型コロナウイルス感染が再び全国的に広がっている。昨日(16日)は全国47都道府県のうち、30都道府県で感染者が確認された。検査数を増やしているのだから感染確認者数は増えて当然、とする向きもあるが、検査で感染が確認される割合も増加傾向にあるという。このようなことに関する統計的な扱い、解釈については私はよく分からない。ここは感染確認者数の増加にのみ注目しておきたい。

さて、Go To トラベル。訪日観光客の激減、国内旅行の大幅な減少により、宿泊や交通などの関係業界が厳しい経営状況に陥っている。そこで国の予算で旅行費用を支援して旅行需要喚起を促すGo To トラベル。尚、政府は感染確認者数が最も多い東京都を発着する旅行をこのキャンぺーンの対象外とする方針を表明した。

この様な内容の記事(7月17日付信濃毎日新聞第一社会面)の見出しは**県民 何のために自粛したのか 都民 東京のみ除外では無意味**だが、これは記事を書いた記者の想いそのものであろう。

(ここまで書いてきて、この記事をどうまとめようかと考える・・・。)

STAY HOMEからGo To トラベルへ。政府は安全(感染対策)より経済優先に舵を切った、と私は解す。

感染防止と経済活動、両者相反するアクティビティ。インフルエンザウイルスは毎年のようにタイプを変えて人間社会を襲う、コロナウイルスも同様だろう。この意味でアフターコロナはない。そう、アフターコロナではなく、ウイズコロナ。

ウイズコロナ社会はどうあるべきか、今はその模索期だということ。何年か後になって今回のコロナ禍を総括する時にこのように理解されるだろう。

この時期、自分の安全は自分で確保するしかないという結論でこの記事を結ぶことにする。


 


北安曇郡小谷村の火の見櫓

2020-07-17 | A 火の見櫓っておもしろい


再(057) 北安曇郡小谷村中小谷 3脚〇〇型 撮影日2020.07.16

 この火の見櫓は今から10年前、火の見櫓巡りを始めた年(2010年)の9月に紹介しているが、その時は全形写真を1枚載せただけだったので改めて紹介したい。小谷(おたり)は新潟県糸魚川市に境を接する村。国内有数の豪雪地として知られる。



この火の見櫓は3角形の櫓を脚元から見張り台まで殆ど逓減させておらず、見張り台の床面で柱を内側に曲げ、その上端に見張り台に比して小さい円形(立体的には円錐形)の屋根を載せている。個性的なフォルム(全形)だ。小谷村役場のすぐ近くにもこれとよく似たフォルムの火の見櫓が立っている。



屋根の頂部には細い避雷針があるが、そこに簡素な飾りを付けている。半鐘を屋根の中心に下げてある。屋根と柱の接合部にも注目。見張り台床面の開口部は蓋付き。ブレースには丸鋼ではなく、等辺山形鋼を用いているが、このことが櫓の「透け感」にも影響している。



踊り場部分の櫓の構面の様子。外付け梯子から踊り場への入口開口に注目。



脚元の様子。このように別に脚が無くても機能上何ら問題はない。ただし櫓の中に入りづらくなるため、梯子は外付けにすることになる。梯子が曲がっているのは雪の影響か(堆雪の側圧を受けて曲がったのかも)、あるいは別の理由か。構成部材の接合部はガセットプレートを用い、リベットでガッチリ固定している。