透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「渋谷山計画」と「ミヤシタパーク」

2020-07-11 | A あれこれ

 東京は渋谷駅近くの宮下公園を含むエリアに計画・建設された複合施設「ミヤシタパーク」が今月下旬(2020年7月28日)から順次オープンする予定だという。このプロジェクトのことをしばらく前に知って驚いた。あ、これは僕の卒業設計の計画地と同じ所だ!

僕は山手線をまたぐような敷地(下図)を設定して、山手線によって分断されている両側のエリアを結ぶ複合施設を計画した。渋谷に谷と山を建築的に創るというこの計画に僕は「渋谷山(しぶやま)計画」というプロジェクト名を付けていた。

ミヤシタパークは下図に示すエリアの下半分(山手線の東側で大半が宮下公園と重なる)に計画された全長330メートルの低層複合施設だ。

屋上を緑化してパブリックな公園にして施設内に入ることなく利用できるようにするという計画は今では一般的で珍しくもないが、当時は殆ど出現していなかったのではないか。デパートの屋上とは基本的な空間構成が全く異なるのだから。






「渋谷山計画」

それにしても僕が40年以上も前に構想した計画と同類の施設が同じ場所に出現するとは・・・。僕に先見の明があった!?   コロナ禍のことがなければ見学に行きたいけれど、まだまだ無理だなぁ。

僕はこの記事を「ドーダ」の気持ちで書いたことを正直に白状する。


 


「海の沈黙」ヴェルコール

2020-07-11 | H ぼくはこんな本を読んできた



 書棚から取り出した古い岩波文庫。『海の沈黙・星への歩み』、作者はフランスの作家・ヴェルコール。奥付けを見ると昭和四八年二月一六日 第一刷発行となっている。この頃★★はいくらだったんだろう。

**『海の沈黙』も、『星への歩み』も、ヴェルコールにとって、またおそらくは地上のよき意志の人々にとって、決してすぎ去った昔の物語ではない。**(168頁) 訳者の一人・加藤周一はこのように書いている。

この『海の沈黙』を読むきっかけ、それはこの小説がテレビ番組で取り上げられていたことだった。ずいぶん昔のことだが、冒頭の部分が朗読されたことを覚えている。

もう一度読まなくてはならない作品。


2019.08.03 掲載記事 改稿再掲(カテゴリー変更)


朝カフェ読書@スタバ

2020-07-11 | A 読書日記



 昨日(10日)の朝、松本なぎさライフサイトにあるTSUTAYAで新書を買い求め、隣接するスターバックスで朝カフェ読書をした(*1)。以前書いたかもしれないが、両店が一体化すればおもしろいのに。書店の中のカフェ、書棚に囲まれた空間でコーヒーを飲みながら好きな本を読むっていいなぁ。

この新書、帯付きだと分かりにくいが書名は『植物のすさまじい生存競争』田中 修(SBビジュアル新書2020年初版第1刷)。 **「植物」のイメージは「平和そう」「のんびり」「きれい」「おとなしい」「癒される」といったものかもしれません。しかし、その世界に一歩踏み込んでみれば、そこでは日夜、すさまじい生存競争が繰り広げられています。静かに暮らしているように見える植物たちは、自分が生き残り、子孫を残すために「知恵」をめぐらせ、考え抜かれた工夫を凝らしているのです。(後略)** カバー裏面の本書紹介文より

植物たちの生き残り戦略について下記の5つにまとめ、それぞれ章立てして分かりやすく解説している。
第1章 枯れ滅びないための戦い
第2章 厳しい気候からからだを守る戦い
第3章「食べられる宿命」との戦い
第4章「虫」を誘うための戦い
第5章「生き残る」ための戦い

各章とも基本的には見開き2頁でひとつのテーマについて解説するという構成を採っている。テーマには通し番号が付いているが、その数は77。カラー写真がたくさん掲載されていて見るだけでも楽しい。文章が簡潔で冗長なところがなく、分かりやすい。

第2章には植物たちの紫外線対策についての解説もある。**紫外線は、私たち人間にも植物たちにも、同じように有害なのです。**(67頁)そうか、紫外線って植物にも有害なのか・・・、そうか、そうだよな、と納得。

植物たちも紫外線が当たると活性酸素という有害な物質を発生する。活性酸素の代表はスーパーオキシドと過酸化水素の2つ。これは基礎知識として覚えておきたい。

で、植物たちは紫外線に当たりながら生きていくために活性酸素の害を消す抗酸化物質をつくり出した。なるほど、そういうことか! 抗酸化物質の代表はビタミンCとビタミンE。

**植物たちが、自分のからだを守るためにつくる物質を、私たち人間は利用させてもらっているのです。**(71頁)このように捉えると植物に対する見方が変わってくる。果物や野菜たちって、ありがたい存在なんだ、と。食事の前にはちゃんと心をこめて手を合わせないといけないな。

きれいな花も逆境に抗った結果。そうなのか・・・。(以下略)


*1 店では座席数を半減させるなどの対策を講じている。