復元された鴨長明の方丈の庵
320
『方丈記』鴨長明(岩波文庫2001年第25刷)
■ 鴨長明は下鴨神社の禰宜(神職)の家系に生まれ育ったという。この神社の境内に鴨長明の方丈の庵が復元されている。方丈記の詳細な記述をもとに、中村昌生氏の監修により復元されたという。ぼくはこの庵を2015年の12月に見ている。方丈の庵は簡単に分解することができ、好きなところに運ぶことができるシステムなので、プレファブのルーツとして取り上げられることもある。私も学生の時にこのような説明を聞いた(ような気がする。あるいはその後の学習の成果かも)。
方丈の方は正方形の方で四角という意味。丈は長さの単位で1丈は10尺、約3m。従って方丈は1辺が約3mの正方形の意。方丈記はこのサイズの庵で書かれたエッセイ。
**ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとゞまりたるためしなし。世中にある人と栖と、又かくのごとし。** この書き出しに長明の無常観が端的に表現されている。