透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「古代への情熱」シュリーマン

2020-07-07 | H ぼくはこんな本を読んできた

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 前稿で取り上げたモームの『人間の絆』はずいぶん昔の本だが、この『古代への情熱』シュリーマン(岩波文庫1969年第24刷)も同様に昔の本だ。この文庫本もパラフィン紙のカバー、紐の栞付き。

巻末に岩波文庫という古典の大森林を前にすれば、たとえば15歳から25歳までの10年間の読書計画を立てるのは不可能に近いだろう、ということで識者に指標として100冊を選択してもらった、という趣旨の文章が載っている(*1)。そして「100冊の本―岩波文庫より」として100冊の文庫がリストアップされている。100冊の中にこの『古代への情熱』も入っている。

この文庫は**トロヤ戦争の物語を読んだ少年が美しい古都が地下に埋もれていると信じその発掘を志す。努力の年月を経て彼の夢は実現してゆく。**と青い帯にあるように、中学生(には読みにくいかな)、高校生くらいのときに読むのに相応しい内容だ。


*1 選者としてぼくも名前を知る臼井吉見、久野 収、桑原武夫、武谷三男、鶴見俊輔、丸山真男ら15人の名前が挙げられている。