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昼時はいつも混んでいるこの喫茶店も、誰も客がいない。
ボクは一番隅に席を占めて彼女を待った。
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発作的な我が行動を振り返りながらボクは温かいおしぼりで顔を拭った。
足を悪くして離れに閉じ込められていたころを思い出していた。
同居していたあの魅力的なお姉さんに挑発されて性に目覚めた頃を。
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少女小説や少女雑誌に読みふけり悶々とした日々を。
中学生になってからは清楚で賢そうな竹内に好感し、
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高校生になってからはバラのような山室を主役に<袈裟と盛遠>を演出したことを。
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そして大学時代、下宿の奥さんと<酉の市>に出かけた思い出。
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そして指をからめあったダルタニアンの幸子。
しかし、右足が棒になったボクには、女性はあくまでも憧れであって、それ以上のお付き合いに踏み込むことはなかった。
モーツアルトの<アイネ・クライネ・ナハトムジーク>を聴いたとき感動したのと同じで、文化的鑑賞の対象に過ぎなかった。
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彼女は何の屈託もない、営業部の扉を開けて現れた時の表情のままで現れた。
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・・・これでよかったのだ・・・
ぼくは今までにない幸せを予感した。
─続く─
今、NHKテレビであの佐高信が三遊亭小円歌と対談していた。
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「女好きでしょう?」と小円歌。
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「女性とはガールフレンド以上のお付き合いがないんだよね」
照れたように応える。
「ガールフレンド以上?」
「このままんま人生終わっちゃうのかと思うと寂しいね・・・」
佐高信のカワイイ一面でした。
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