昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(289)文明(2)

2014-08-28 04:50:56 | なるほどと思う日々
 建築家の清家 清が言っている。
 
 今の慶應義塾大学学長、清家篤のお父さんだ。

 今日の便利は明日の不便
 まったくだ。
 会社勤めをしているころ、大阪に出張するのに昔は泊りがけで行ったのに、新幹線ができてからは日帰りになってしまった。

 人間は何をあくせくと、ゆとりのない状態へと自らを追い込んでいくのだろう。
 
 いっそのこと哲学者木田 元の言うよう、
 これ以上豊かにも便利にもならなくていい。その思い切りを思想化することだ。

 今やグローバリゼーションとかで、世界中が白人トリックに巻き込まれ、のんびりマイペースで生活するなどとのんきなことを言っていられなくなってきた。
 

 マハティール前マレーシャ首相が警告を発していたのを思い出す。
 
 新世紀を迎えるにあたって注意せねばならないことは、グローバリズムの中でモラルなき巨大資本が国境を越え、政府を無視し、貧しい民を無視して、ただ利益ばかりを追求していることです。
 アジアの富の蓄積を為替投資家が一晩で崩壊させ、民衆を失職させ、暴動を巻き起こす。
 冷戦後の現在は<絶対資本主義>ともいうべき無慈悲な怪物が歩き出している。
 資本は巨大であればあるほど利潤効率がいい。
 アジアの発展途上国がいかに固有の文化、価値を保持しながら、この手ごわい相手と向き合うかが、今後の課題です。


 このモラルなき無慈悲な怪物を、ウオールストリートジャーナルのブラウン記者は<リッチスタン>と名づけた。
 
 自分の会社を<タックス・ヘイブン>に本社を置き、個人的にも低租税国を居住地にして、租税負担を回避する。
 要するに、「自分さえ良ければいい」主義なのだ。

 ここで、アメリカのウオルト・ホイットマンが作った<ブロードウエイの行列>という詩を思い出す。
 
 
 江戸末期に初めてアメリカを訪れた派遣武士団が馬車に乗ってブロードウエイを物怖じすることなく、誇り高く昂然と行列するさまを見て、「彼らは今日我々アメリカ人が失いつつあるものを全て備えている」と礼賛した詩だ。

 ─続く─


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