昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(116)文明の進化路線に逆らえるか(26)

2012-04-14 04:14:20 | エッセイ
 北朝鮮の「人工衛星打ち上げ」と称する「長距離弾道ミサイル発射実験」は昨13日(金)7時40分頃実施され、失敗に終わった。
 
 15日の故金日成主席の生誕100年、そして三代目の金正恩の国家トップ就任に<力の誇示>を添えることは叶わなかった。

 異例なことだが、彼らは今回の失敗を認めた。
 しかし先代の銅像の除幕式を行い、明日には記念式典を行うであろう。
 そして、ミサイル発射に国際的な非難が寄せられれば、核実験を挙行し、あくまでも<力の誇示>に固執する態度を内外に示すことになるのだ。
 
 近代文明を築き上げたのは、西洋文明における<力>に基づく進化路線だ。
 彼らはその尻尾かもしれないが、<力>にしがみつき通すことが生きる道だと信じている。
 たしかに、アメリカを始めとする列強の振る舞いや、中東におけるイラン、イスラエル、シリアそして、中国の覇権的行動などの絶えざる問題は、いずれもこの<力の誇示>に起因している。

 今月のFサロンのテーマは<原発問題>だった。
 山岡淳一郎の「原発と権力」をベースに勉強した。
 戦前の日本も<力の誇示>によって列強に挑み失敗、国土は廃墟と化した。
 占領したアメリカは<力>でもって日本を無力の平和を志向する農業国に改変することを目指した。
 しかし、たまたま朝鮮半島の有事によりそれは方向転換することになる。
 自国の都合で、余剰小麦を売り込むために、日本の給食制度を利用して、キッチンカーなども使って、「米よりも頭のよくなるパン食を」の大キャンペーンを繰り広げ大成功を収める。

 また、アイゼンハワー大統領は Atom for Pease の演説をぶちかまし、余剰原子力の売り込みにかかる。 日本では1954年、原子力予算が通過、産業界は将来的に軍事と結びつき巨大産業となる見通しから、三菱、日立、三井、住友、古河など財閥系がこぞって参入。
 当初アメリカGEのターンキー方式(ハードとソフト丸ごと)軽水炉を導入した。
 ハードのみならずソフトまで依存してしまったので、独自のこなれたものにならず、後々禍根を残すことになる。
 福島第一原発事故で明らかになったが、その隠ぺいされた欠陥がハード、ソフト両面であった。
 
 日本はさらに、<力>による国際政治に台頭することを狙って、軍事転用可能な高速増殖炉にも手をだし、プルサーマル計画という<希望の星>にも手を付ける。
 多くの国はその難しさに手を引いたが、現在、日本の他ロシア、中国、インドが開発に固執している。

 福島第一原発事故により、ドイツ、イタリアが原発廃止を決め、日本でもその議論が盛んである。
 (昔を懐かしんで、日独伊で列強に挑んでもどうかな?)
 アメリカ、フランスを始め、近隣でも中国、韓国など廃止する気にはなっていないのが世界の大勢である。

 つまり、人類の叡知をもってすれば、原発の問題は解決できる、豊かな生活を目指し文明を進化し続けるのが人類であることを疑わない。
 
 原発を捨てるか否かは<政治>が決めるのだが、独裁国家であろうと、民主主義国家であろうと、問題は先送りして、先へ、先へと進もうとしている。
 財政面でもそうだが、ギリシャ状態になっても<問題は先送り>が政治の本質のようだ。
 

 北朝鮮と同じように、人類はこのまま自信過剰で行き着くところまで走り続け、留まることはないのだろう。

 やはり<文明の進化路線>に逆らうことはできないのか。 


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