昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

ペット(6)雀のチュン太4

2008-12-23 05:22:16 | ペット
 何日か経過して、驚いたことに、チュン太が息子の裸の肩に乗っかっている。
 あの乱暴に扱う息子の肩に!
 乱暴に扱われても、毎日のように自分の住処を綺麗にしてくれる愛情に、チュン太もようやく応える気になったようだ。

 息子が独立して、たまに家に現れるとチュン太は羽ばたき、かごに足で取り付き、腹を見せ、狂気の様で歓迎する。
 息子はチュン太をかごから出してわしづかみにすると、ブファーと生暖かい息を吹きかける。
「やめなさい、死んじゃうじゃないの」
 妻が悲鳴を上げるぐらいだ。
 チュン太はマゾか。

 チュン太はちゃんと人を識別する能力がある。
 他人にははしゃいだそぶりはしない。
 たまに来る孫などは予測不可能な行動をするから怖がって巣から出てこない。
 

 最近、食事の時、ご飯を与えるのはぼくの役目になっている。
 ご飯や野菜、うどん、たまご、場合によっては魚など動物性のものも与える。

 その所為か、ぼくが部屋から出ようとすると、必ず呼び止める。
「チュン、チュン」と。
 階段を降り出すと、「ジャージャー」と威嚇し、そのうち「ピイ、ピイ」とおべんちゃら声を出し、いよいよ戻ってこないとなると、また「ジャージャー」と不満の声を上げる。
 不思議なことに妻や息子にはこんな反応はしない。

 泣き声はこれだけではない。
「ピヨ、ピヨ」と甘え声を出すかと思えば「ピロロ、ピロロ」と満足の囀り声を上げる。
 雀は「チュンチュン」だけではない。

 「ピーッ」チュン太が悲鳴を上げている。
 妻がテーブルクロスを緑色のものから葡萄色のものに代えたからだ。
 赤いバッグなどを近づけると、「ピーッ、ピーッ」と悲鳴をあげて逃げ惑う。
「変な鳥!」と妻はバカにするが、チュン太は狭い世界で暮らしているのでちょっとした周囲の色などの変化にとても弱いのだ。

 -続くー

  


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