昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

運が悪いことから全てが始まった(73)貿易会社(31)

2013-12-26 04:01:20 | 小説、運が悪いことから全てが始まった
「専務はいらっしゃるか!」
 営業部のドアが開かれると同時に部屋中にでかい声がひびき渡った。
 北海道選出の衆議院議員阿藤先生だ。
 岩田専務はソ連の貿易公団に人脈を築いているだけではなく、日本の政治家にも顔が利く。

 1964年ソ連は従来の貿易公団によるものとは別に、日ソ貿易に関わる全ソ輸出入事務所を創設、極東部ソ連と日本海沿岸の日本都市との間で貿易を開始した。
 
 さらに日ソ沿岸市長会議を開催し、両国間の沿岸貿易のみならず、姉妹都市提携並びに友好文化交流にも取り組むようになった。
 岩田専務はいち早くその動きに敏感に対応し、交流を期待する日本サイドの地方出身政治家との結びつきも深めた。

 今日も商店街を仕切るおっさんのようなずんぐりした体形の阿藤先生は、大きな声を張り上げて、社員のみんなにも愛嬌をふりまきながらやってきた。
 北海道の都市とソ連沿岸都市との結びつきのために、貿易を中心とする経済・文化交流を目指しているのだ。
 声がでかいと言えば、我社の沿岸貿易の担当に選ばれた物資部の池田デブチカに触れないわけにはいかない。

 ─続く─

 先日NHKテレビに熊谷真実さんが出演していた。
 
 53歳で35歳の書道家と結婚してニュースになった方だ。
「相手のご両親に結婚の御挨拶で伺ったら、共に61歳で旦那になる人より歳が近いの・・・」
「もう子どもも生めないお嫁さんに不安だったようだけど、今ではご両親と兄弟のようなお付き合いで、和気藹々・・・」とお幸せそう。

 ウチの奥さんのお母さんはすでに90歳を超えているが、杖もつかないで歩くし、声にも張りがあって元気いっぱい。
 たまにお伺いして、昔秘書課の華とおだてられた頃の話をすると「そんなことないわよ・・・」と言いながらもご機嫌。このところ奥さんからコケにされているボクに「旦那を大切にしなきゃダメよ!」とサポーとしてくれて、ボクにとってホッとする存在だ。
  


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