昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(578)退院後の最初の定期健診

2019-11-01 04:44:15 | エッセイ
 退院後の最初の定期健診だ。
 家内に連れられて吉方病院へ向かう。
 「タクシーで行こう」家内はタクシーを拾おうとした。
 「流しのタクシーなんかムリだ」ボクは主張した。
 「バスで駅まで行ってそこでタクシーに乗ればいいじゃないか。駅前なら確実にタクシーに乗れる」
 「バスに乗るなんて、まだムリよ。ステップで脚を踏み外したらどうするの?」
 ボクの安全を第一に家内は主張したが、結局ボクの意見に従うことになった。

 午後二時だったが、病院の受付には患者がたくさん待っていた。
「あら、・・・さん。どうしたの?」
 家内が早速顔見知りを見つけてしゃべりだした。
「転んじゃって・・・」
 さすが、ボランティア活動で顔の広い家内だ。
 91歳だというおばあさんと延々としゃべりだした。

 受付をしてから、一時間以上待たされて、
「中待合へどうぞ・・・」と言われてさらに30分以上待たされた。
「どんどん歩いていいですよ」
 院長先生は、手術跡を見ることもなく言った。
 ボクは新井リハビリ師のおかげで、退院時には既に自立歩行でバンバン歩いているのをご存じだった。 
 

 「では、次にお見えになる日を決めましょう」
 ・・・診察じゃなくて、次来院すべき日を決めるのかい?・・・
 一週間後? 冗談じゃない。せめて二週間後にしてもらった。
 「インフルエンザの注射は受けておいたほうがいいでしょうか?」
 家内が余計なことを言うものだから、次回は家内ともども注射までさせられることになった。

 ・・・まったく、病院という所はいつまでも患者をつなぎとめようとするんだから・・・
 ボクは嫌みを呟いたが、「そんな言い方するもんじゃないわよ」
 家内からたしなめられた・・・。
 打算的なボクに対して、善意の家内をあらためて認識させられた。