昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(261)三鷹市民大学・大久保喬樹「日本の文学」(1)

2018-05-19 05:46:35 | 三鷹通信
 平成30年度三鷹市民大学総合コース。昨年は哲学だったが、今年は「日本の文化」を選択した。
 メイン講師は東京女子大学名誉教授 大久保喬樹氏。
 昨日はその第1回、教室は30名あまり、ほぼ満席だった。講師は70歳を超えているはずだが、恰幅がよく若々しい。
 一見ラガーマンかという精悍な顔つきだ。
 ご自身がこの道に進まれた経験から語り始める。
 茨城に疎開されていたが、横浜の日吉で少年時代を送られた。中学3年の頃、文学に関心を持ち、新宿で映画を観たりしてヌーベルバーグのフランスに憧れを抱く。
          
 東京大学法学部に入学したが、法律に関心が持てず、父親に反対されながらも、フランスに定住したいというほどの想いから当時新設された教養学部でフランス学科を専攻、フランス人の講師に鍛えられた。
 当時は東大安田講堂炎上など学園紛争のさ中、一時浪人の憂き目をみるが、フランス政府の奨学金で留学するチャンスを掴む。
 ・・・日本人が何故フランスの文学などを勉強するのか?・・・他人からも問われ自身でも考えたが、広い視野から見る比較文学、比較文化の道を選択した。
 フランスでは、3年間日本人とはノータッチ。電話もしなかった。盲腸の手術を受ける事態になったこともあったが・・・。

 当時、フランスでも日本のことが話題になった事件があった。
 *川端康成のノーベル文学賞受賞。
 *三島由紀夫の割腹事件。
 川端もガス自殺事件を起こし、あさま山荘事件などもあって「日本人て一体何者だ」と話題になった。

 在仏中、大久保氏は日本人としての「川端康成」とフランス人のマルセル・プルースト(”失われた時を求めて”の作者として有名だった。)の考え方の相違について比較する博士論文をテーマとして取り上げた。しかしフランス人の担当教授から「そんなテーマでは博士論文は通らない!」と強烈に反対された。
 ・・・フランスは世界文化の中心であり、そこから如何に学んだかという内容でなければならない・・・
 ・・・フランス文化と異文化を対等に比較する事自体ナンセンスだ!・・・ というわけだ。
 しかし、氏は、博士号は取れなくても構わないという覚悟でこの論文を書いた。(その具体的な内容を拝見したいものだ)
 ・・・いずれにせよ、比較文学・比較文化に対する氏の姿勢の一貫性に敬服!・・・

 そして、1年間、10回にわたる講義内容についての概略が示された。
 <外人の見る日本文化>、<日本人自身の自国の文化を見る目>、それらの<歴史的変遷>
 そして最後には、レヴィ・ストロースを取り上げ、西洋文化を採り上げながらも、日本文化も併存させるという<日本文化の特質と意義>について、<脱近代文明>へのヒントが提示されるという。
 大久保喬樹東京女子大名誉教授の「日本文化─文化・芸術・歴史から日本の今を見つめましょう!」に大いに期待したい。

 フジテレビ、プライムニュースを観る。
 フランスの歴史人類学者エマニュエル・トッド氏と政治学者三浦瑠麗氏が出演されていて 
 日本人への提言をされた。
「経済より、人口動態に関心を示す政治を」「女性を大切にするシステムを」
 もっともだと思う。