昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(448)戦争と読書

2016-10-13 05:02:10 | なるほどと思う日々
 国連平和維持活動に参加し、「駆けつけ警護」を伴う部隊の南スーダンへの派遣に関して、「リスク」を伴う云々が議論されていた。
 
 
 稲田防衛大臣は「国に命を捧げる自衛隊員の活動はいかなる場合でもリスクは伴う」と答弁していたが、さて、自衛隊員自身はいかなる思いで戦地に赴くのか。
      
 (2016.8文藝春秋BOOK倶楽部で興味深い本に出会った)
 M・G・マニング「戦地の図書館」
 
 第2次大戦下の日本軍は「軍人勅諭」の精神で自分の意見を持たず上官に従った。
 ところが米軍は「心底から納得しないと部隊が動かない。特に上官には説明能力、そのための教養が常に求められる」と考え、軍独自の「兵隊文庫」を作成戦地に送り込んだ。その数、1億4千万冊以上。

「地域事情を理解したいから枢軸国の近代史が分かる本」をという要求さえあった。
 戦争という極限状況の中では、特に「娯楽本」が求められた。
 日本でも敗戦間際になると戦意高揚映画は不人気になり、「乙女のゐる基地」なんて映画が出来た。
 ・・・軍隊を駆動させる最終装置は「乙女」です・・・
 
 戦後もこの「兵隊文庫」をきっかけに、弁護士やジャーナリストに興味を抱いたりして、
戦後の強いアメリカを支えた基盤となった。
 アメリカの強さは「戦力」だけでなく「知力」にもあった。
 「ヒトラーの焚書」のシーンからこの本は始まる。
 
 そして最後は「アメリカ軍に供給された書籍の数は、ヒトラーが葬り去った書籍の数より多い」と結ばれている。