昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(136)文明の進化路線に逆らえるか(38)茶番劇

2012-09-20 06:08:21 | エッセイ
 中国の次期最高指導者に内定している習近平副主席は、昨日、日本政府による尖閣諸島の国有化について<茶番劇>だと強く批判した。
 
 先日の駐日中国大使の発言と重ね合わせてみると、胡錦濤体制を引き継ぐ中国の一貫した対日姿勢が明らかになった。
 つまり、本件に関しては<棚上げにする>という両国間の合意に立ち返らなければならないという主張だ。

 習近平次期中国最高指導者は、今まで両国間で均衡を保ってきた<茶番劇>に日本政府が<国有化>という名をつけて演じだしたと言っているのだ。
 日本サイドのマスコミに登場するコメンテーターたちの論調をみると、「国有化は当然だが時期がまずかった」というのが多い。
 しかし、翻ってみれば、自国領土なのに棚上げするなどというあいまいな合意をしたことに問題があったのだ。
 これこそ<茶番劇>だったのだ。
 (茶番劇というと、中国の民主活動家、劉暁波氏に対するノーベル賞に対抗して設立された<茶番劇>孔子賞に失笑という記事を思い出す・・・)

 あいまいな状況をいつまでも放っておくわけにはいかないという石原都知事の動きに触発されて野田政府も重い腰を上げざるをえなかった。
 <茶番劇>に幕を下ろす時が来たのだ。
 だから国有化がいつになろうと、中国が今回と同様な反応をしてくるのは覚悟の上だったろう。
 
 いずれはまともな国として通らなければならない処置だった。
 また、この決定の引き金となったのは<竹島問題>だとも言える。
 
 あいまいに対応してきた結果が自国領土の不法占拠だ。
 
 平和ボケしていた日本は、韓国やロシアなど周辺国の現実の姿勢にショックを受け目覚めたと見るべきだろう。
 エネルギー資源のない日本は、原発でも手を縛られ、今後生きる道は海洋資源に頼らざるを得ない。安全な漁業を行うにも、海洋資源の開発のためにも、いずれは島に施設を建設しなければならない。
 中国政権が交代時期にあり、南沙諸島問題で国際的な批判を受けている今こそタイミングだったと見ることもできる。
 自国のものであることをいずれははっきりさせなければならないのだから。

 これまでは経済的に優位な立場で、余裕のあった日本も、そうはのんきにしていられない状況になってきたのだ。
 資源開発のためにも積極的な外交政策をとらざるを得ない所に差しかかっているのだ。
 少なくとも<事なかれ主義>ではいかなくなってきた。
 腹をくくって対応しなければならない。

 ・・・昨日のエッセイと違うじゃん! と言われるかもしれない。
 昨日の思いは<理想>の旗なのだ。
 <理想>を掲げて現実的に生きなければならない。・・・