昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(135)文明の進化路線に逆らえるのか(37)光る森

2012-09-19 04:17:10 | エッセイ
 四国山脈の一角に不思議な<光る森>がある。
 
 調べてみると、光る正体はシイやカシなどの巨木に寄生するある種のキノコの胞子だった。 
 キノコは巨木に菌糸の根を張り栄養を得て成長する。
 つまり森の光は壮大な自然の営みの象徴なのだ。
 しかし、今やこの高知県の横倉山の他には、八丈島など、人里離れた山奥にしか見られない。 敢えて山奥に踏み込んでいかなければ、なかなかお目にかかれない貴重な光だ。
 昔話に<かぐや姫>の物語があるが、月の世界から降りてきた<光る姫>に託した我が祖先の思いは、自然の壮大な営みに対する畏敬の念であったのだろう。

 今、東京スカイツリーから臨む我々の住む街は、あたかも文明の進歩を誇るかのように人工的な光に充ちている。
 
 しかし、ここへ来て、とつぜん想定外の大震災という自然の猛威に我々は翻弄された。
 おまけに人類が叡知を傾けて生み出したはずの<核エネルギー>という文明の申し子が暴発するという事件を引き起した。
 そしてこの鬼っ子はたして産み落とすべきであったかどうかが問われている。

 自然をもコントロールできるという人類の傲慢さに、自然界から鉄槌が下されたとも言える。
 今こそ人類は自然に対する畏敬の念を抱く謙虚さを取り戻さなければならない。