昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(134)文明の進化路線に逆らえるのか(36)落語談義(3)尖閣問題

2012-09-15 04:04:08 | エッセイ
 
 熊さん:中国の軍艦が尖閣諸島の領海に6隻も侵入したらしいですぜ。
     
 
 ご隠居:軍艦とは穏やかじゃないね。ま、似たようなものか・・・。
 熊さん:日本の巡視船が警告を発したら、「古来から中国の領土だ。
     お前の方こそ出て行け!」って返してきたらしいぜ。
     いよいよおっぱじめようってんじゃねえの?
 ご隠居:まさかそこまでは考えていないだろうが、対応次第ではそうなり
     かねない挑発的な行為だね。
 熊さん:次は護衛艦を従えて大量の漁船を寄こすって脅しをかけてきて
     いるぜ。島に上陸ってことにでもなったらどうするんだい。
 ご隠居:事を穏便にという政府の立場としては、日本が実力行使をする
     となると軍事衝突になりかねないから、それは避けたいだろう
     しな・・・。今回は敵も上陸までは考えていないだろう。
 熊さん:そんなのんきなことを言っていていいんですかい? 結局はフィ
     リピンの南沙諸島みたいに獲られちゃうんじゃないの? だいた
     い今まで民間に任せていたのに、今回なぜ中国政府自体が乗り
     出してきたんだね?
 ご隠居:尖閣の所有権が民間から国に移ったからだろう。
 熊さん:そんなことこっちの勝手だろうが。いずれそうしなきゃ漁民の安
     全を保つための設備も作れないだろうし、尖閣周辺の海洋開発だ
     って手をつけられないだろうし・・・。
 ご隠居:たしかにそうなんだが、中国サイドからすると、尖閣の帰属につ
     いては当分棚上げにするという両国間の密約に反したって言うん
     だろうな。
 熊さん:だいたいそんな中途半端な事なかれ主義の解決法でお茶を濁し
     てきた日本の姿勢が、現実的にあり得ないんじゃないの?
     自国のものだと主張するなら、韓国の竹島にたいする対応みた
     いに断固とした実効支配するってのが、国際間での現実じゃな
     いの?
 ご隠居;そうなんだよな。韓国ばかりじゃなく、ロシアだっていったん
     獲ったものは返さないって言ってるし・・・。
 熊さん:一時問題化した日本の領海から石油を吸い取っているという
     <東シナ海ガス田問題>はどうなっちゃったんだい? 
     泣き寝入りかい?今度の尖閣に日本政府はどう対応するんだね?
     
 ご隠居:ここは日本の正念場だな。今までのようにことなかれ主義では
     すまないよって、相手から突きつけてきたんだもんな。
 熊さん:じゃあ、どうするんだい?
 ご隠居:ここは、日本も<力の論理>に従って、命がけで<力>でもっ
     て対応せざるを得ないだろうな。いずれは<調和の世界平和>
     を目指すとしても・・・。

 熊さん:<調和の世界平和>? そんなもの期待できるんですかい?
 ご隠居:近代世界史の流れは<西洋文明>の考え方に支配されているんだ。
 熊さん:<西洋文明>?
 ご隠居:つまり人類が他の動物と違うところは<夢>を持つことが出来る
     ということなんだ。
     その<夢>の実現のために人間は叡知を極めて努力する。
     いうなれば、<叡知万能主義>、いいかえれば
     <文明の進化路線>なんだよ。
 熊さん:<文明の進化路線>?
 ご隠居:限りなく文明の進歩、つまり快適な生活環境を求め続けるという
     姿勢なんだ。
     その優秀な人類の叡知は自然をも支配できるという考え方に結び
     ついた。核エネルギーの開発なんてのはその最たるものだ。
 熊さん:しかし、その核エネルギーを利用した核爆弾や原発が問題になっ
     ている?
 ご隠居:そこなんだよ。人間は叡知を切磋琢磨して、というと聞こえがい
     いが、それがどういう方向に向いているかが今、問われているん
     だ。
 
     領土問題とか、宗教問題とか、<力>が人類間の争いに向いてい
     るのが問題なんだ。
     <我欲>という人類の悪癖に引きずられて人類の滅亡に至らねば
     と願うのみだよ。
 熊さん:ずいぶん大きな問題になっちゃったね。