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Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

ある功績

2022年02月01日 | 日々、徒然に
石原慎太郎氏が亡くなった。
享年89。長く東京都知事を務めていたので、
都民としては、都から届くいろんな書類に
この人の名前が記されていたのを思い出す。

さまざまな失言や暴言が目立ち、
ジェンダーバイアスを押しつけてくる
マッチョでタカ派の政治家という印象。
政治家としての功績はどんなものがあったのだろう。
たぶん新聞などのメディアが書くだろうから読んでみよう。

小説も読んだことがないので、
どれだけすごい作家だったのかがわからない。
確か豊崎由美さんが石原文学について書いた本が
あったけどこれも未読。

ただ、映画に関しては
大きな功績のあった人だということはわかる。

まず、なんといっても実弟が石原裕次郎だということ。
当時、日活のプロデューサーだった
ターキー(水の江瀧子)に裕次郎を紹介したという。

そして「太陽の季節」(56)の原作者であること。
中平康監督のこの映画は、
太陽族映画として爆発的なブームを呼び、
日本映画の黄金期を担う作品となった。
さらに海を渡り、トリュフォーなどの
仏ヌーヴェル・ヴァーグの映画作家たちに大きな影響を与えた。

原作の映画化作品でいうと、
同じ中平監督で「狂った果実」(56)
市川崑監督「処刑の部屋」(56)
舛田利雄監督「錆びたナイフ」(58)
川島雄三監督「接吻泥棒」(60)
篠田正浩監督「乾いた花」(64)など、名作揃い。

とりわけ「接吻泥棒」は
スラップスティックコメディの傑作で
慎太郎氏は本人役で登場し、
ラストで思い切り場面をさらい、接吻ならぬ場面泥棒だった。

この人がいなければ、
日本の、そして世界の映画の流れは
今とまったく変わっていたことだけは確かだと思う。
正確に言うと、この人が触媒になって
映画史が大きく動いていったのかな、と。

慎太郎氏は監督もしていて、
久保明と団令子が出た「若い獣」という作品があるけれど
残念ながら未見。シネフィルのみなさん、
どんな映画か教えてくださいな。


もう一本、「二十歳の恋」(62)という
パリやローマ、東京などの都市で撮られたオムニバス映画があり、
トリュフォー、ワイダなどと並んで、
日本からは慎太郎氏が監督として名を連ねている。
好きな女の子を殺めてしまう
孤独な青年の話で、見応えがあった記憶が。
トリュフォーの短編があるというだけで語られるこのオムニバス、
ぜひどこかでリバイバルしてほしいと思います。ともあれ合掌。

追記:
上でヌーヴェル・ヴァーグの監督たちに
影響を与えたのは「太陽の季節」と書きましたが、
「狂った果実」が正しいようです。シネフィルのくせにすみません。


コメント
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