中島岳志『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』(朝日新聞出版)を読む。
言わずと知れたあの通り魔事件の犯人が
生まれてから犯行にいたるまでを克明に記録したノンフィクション。
読後感はなんというか、とにかく悲しい。

悲しいと書いたのは、
本書のクライマックスがあの事件だからだ。
悲惨な結末を最初から知っているだけに、
いたるところで「それはやめたほうが」「なぜそこで逃げなかったの」
「どうしてそんな行動をしたの」と言いたくなる瞬間が多すぎる。
帯のコピーにあるように、
加藤被告には友人が多かった。
ある意味、人気者でもあった。
彼のコンプレックスを理解してくれる人もいたし、
親身になって相談に乗る人もいた。
それなのに、なぜ。
どうして誰も止めることができなかったのか。
同じ境遇にある人は多いはずなのに、
加藤被告とそうでない人の差は何なのか。
凶悪犯罪をおかした人物の
ノンフィクションを読むたびに思うのだけど、
結局答えは出ないわけで、なんともやるせなくなる。
中島岳志は『中村屋のボース』『パール判事』など、
インド関係に造詣の深い学者であり、大学教授なのだけど、
淡々と加藤被告の動向を追いかける筆致に静かな迫力が。新境地でしょう。
お薦めです。読後感はやるせないけども。
言わずと知れたあの通り魔事件の犯人が
生まれてから犯行にいたるまでを克明に記録したノンフィクション。
読後感はなんというか、とにかく悲しい。

悲しいと書いたのは、
本書のクライマックスがあの事件だからだ。
悲惨な結末を最初から知っているだけに、
いたるところで「それはやめたほうが」「なぜそこで逃げなかったの」
「どうしてそんな行動をしたの」と言いたくなる瞬間が多すぎる。
帯のコピーにあるように、
加藤被告には友人が多かった。
ある意味、人気者でもあった。
彼のコンプレックスを理解してくれる人もいたし、
親身になって相談に乗る人もいた。
それなのに、なぜ。
どうして誰も止めることができなかったのか。
同じ境遇にある人は多いはずなのに、
加藤被告とそうでない人の差は何なのか。
凶悪犯罪をおかした人物の
ノンフィクションを読むたびに思うのだけど、
結局答えは出ないわけで、なんともやるせなくなる。
中島岳志は『中村屋のボース』『パール判事』など、
インド関係に造詣の深い学者であり、大学教授なのだけど、
淡々と加藤被告の動向を追いかける筆致に静かな迫力が。新境地でしょう。
お薦めです。読後感はやるせないけども。