「こんにちは」
「はい。こんにちは。栄養士の●×です。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「さて、今回お呼び立てしたのは…」
「あの…メタボ予備軍だと言われて」
「そうですね。健診の結果はお持ちですか?」
「あ、はい」
「どれどれ…ふむふむ。なるほど」
「どうなんでしょうか」
「やっぱり食生活の改善が必要かと思います」
「そうですよね…」
「事前に書いていただいた調査票によると、好んでお食べになるのが…」
「あの、や、や…」
「焼きそばですね。わかってますよ。ここに書いてありますから」
「は、はい。すみません」
「謝らなくて大丈夫です」
「はい」
「それで、焼きそばだけじゃなくて…」
「む、む、むぎの…」
「ああ。麦の」
「は、はい。麦が発酵してシュワシュワする茶色の液体です」
「わかりました。あのですね」
「は、はい」
「そんなびくびくしなくてもいいですよ。でも、焼きそばと麦のアレばかりだと栄養価は最悪です」
「さ、最悪ですか」
「焼きそばは炭水化物と塩分と糖分だらけで、まともなたんぱく質も食物繊維もありません。麦のアレはカロリーばかり高くて栄養価は低いですからね」
「そうですか」
「少しは控えましょう」
「でも、どうしてもガマンできなくなるんです」
「そうですか、どんなときですか」
「ほら、仕事とかでやさぐれるときがあるじゃないですか。そんなとき、やってられん! ええかげんにせえ! と言いながら、ついつい焼きそばと麦のアレを…」
「それはいけませんね。そのふたつはますますメタボにさせるだけですよ」
「すみません。つい…」
「やさぐれてむちゃ食いする人は多いですからね。焼きそばや麦のアレの代わりに、もっと栄養価の高いものを食べるようにしたらどうでしょう」
「栄養価の高いものですか?」
「ええ。たとえば魚肉ソーセージとか、笹かまぼことかいいですよ」
「そうなんですか」
「たんぱく質の食べ物ですからね。しっかり筋肉をつくってくれますし、代謝も良くなります。焼きそばと麦のアレばかりだと、脂肪ばかり増えて、筋力が落ちてしまいますから」
「そうなんですか。知りませんでした」
「今日からやってみませんか。焼きそばの代わりに魚肉ソーセージ」
「あるいは笹かまぼこ」
「そうですそうです」
「確かに魚肉ソーセージなら、栄養になると思うんですけど…」
「なにか問題でも?」
「大ありです。魚肉ソーセージや笹かまぼこじゃあ心が満たされないんです。体は満たされても、このやさぐれた心が!」
「あなたは心で焼きそばを食べてるんですか?」
「おお、そうじゃ! じゃからといって何が悪いんじゃ!」
「まあまあ落ち着いて。毎日とは言いません。焼きそば休養日をつくって、笹かまぼこの日をつくりましょうよ」
「こん、くされ外道が! 何が悲しゅうて、笹かまぼこの日をつくらんといけんのじゃ! ワシはのお、お湯入れて3分でできるアレがええんじゃ!」
「笹かまぼこは封を切れば1秒で食べられます」
「アホンダラ! あの3分が何よりもの楽しみなんじゃ! 今か今かと待つ3分は至福のときじゃと思わんのか!」
「お、落ち着いてください。このままだとメタボまっしぐらですよ!」
「ああ、そうじゃった。ワシはどうしたらええんじゃ!」
「焼きそばに笹かまぼこか魚肉ソーセージを入れましょう」
「おお。そうか。ええアイデアじゃ。おぬし策士じゃのお」
「ペヤングがそのうちやりそうですけどね」
「ぐふふ。ワシもいまそう思うとったんじゃ」
「楽しみですね。ふふふ」
「笹かまぼこ入り焼きそばとはのお。ぐふふ」
「ふふふ。どのみちメタボは避けられませんけどね」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます