インチキな関西弁、というと
いつも古い日本映画に出てくる森繁久彌を思い出す。
「夫婦善哉」「猫と庄造と二人のをんな」などの
インテリのくせに甲斐性のないダメ男が喋る関西弁。
もちろん森繁の関西弁は素晴らしい台詞回しなのだけど、
インチキ臭いというのは、森繁が演じる男の佇まいのことで、
そんな男が発する関西弁が絶品というか。見るたびに惚れ惚れしてしまうのです。
こんないい加減な男になりたいな、と。
谷崎潤一郎原作、豊田四郎監督の「猫と庄造と二人のをんな」。
煮え切らない森繁をめぐって、先妻(山田五十鈴)と、
今の妻(香川京子)が「このドロボウ猫!」的な諍いを繰り広げる。
そんな二人を尻目に、苦渋の表情を見せながら、
飼い猫のリリーを溺愛する庄造(森繁)。
映画史に残るダメ男であり、
キャットファイトな映画としても名作と言えるでしょう。
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