旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

温故知新(ふるきをたずねあたらしきをしる)

2008-01-08 16:06:37 | 時局雑感

 
 日曜朝のテレビ番組は政治討論番組が続く。布団の中で体を休めながらそれらを聞くのが私の日課だ。今年最初の日曜日である
6日朝も、8チャンネルを見ていると珍しく阿川弘之氏が出ていた。中曽根康弘元総理と同時出演で、現状の日本を憂いながら専ら昔の海軍の話をしていた。つまり、しきりに「旧きをたずね」ていたわけであるが、その中で阿川氏が話した「吉川幸次郎の温故知新の解釈」は面白かった。さすがに高名な中国文学者吉川幸次郎は、温故知新の温を次のように説明していたと言う。

 「『ふるきをたずね』のたずねを、尋問の尋(あるいは訊)という字にしないで温としたのは、単に問いただすと言うようなことではなく、『温めあたため、中身を解きほぐし見つめる』という意味が込められている。しかも、温めるのも強火ではいけない。チョロ火でトロトロ、トロトロと時間をかけて温めなければいけない。」

 
 この話も面白かった。同じ物事を究めていくにも、チョロ火で温めるように、時間をかけて究めていくのだ、というのがなんともいい。
 
私は若いころ最初にこの言葉に接したとき、「おんこちしん」と読んで何のことか分からなかった。そのうち「ふるきをたずねあたらしきをしる」と読むことを知って含蓄のある言葉だとは思ってきたが、温を「たずねる」と読むのはもう一つ理解できず、中国では尋(訊)をそう書くのであろう程度に思ってきたが、この阿川氏の話で一挙に理解が高まった。何事も勉強してみなければわからないものだ。
 
コメンテーターの竹村健一氏を含め右よりの風潮で、いつもの調子か・・・、などと聞いていたが、このような貴重な話が出てくるので捨て置けないものだと思った。
                             


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