旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

NPO銀行について(2)

2008-01-19 12:28:54 | 時局雑感

 
 前回、NPO銀行のニュースを見て、驚きと感動を覚えたことを書いた。それは、銀行員として生きてきた自分の半生を顧みて、あまりにもかけ離れた存在であったことからきた驚異と感動であったからだ。
 NPO銀行は無利子の資金を集めているからといって、安易に金を貸しているわけではない。審査には百を越えるチェック項目があるという。しかもかなり日数をかけ、実態的には経営指導的なことまでやって、相手NPOの事業がうまくいくように、同時に貸した金が間違いなく回収されるように慎重に運営されているようだ。
 貸金の最高額は3百万円。これがいかにもNPOという感じだ。ある農村のNPOが「農業体験実習」を行うために古い宿泊施設の改装を試みた。2百万円ぐらいかかりそうだが、普通銀行はそれすら貸してくれない。NPO銀行に申し込んだところ、かなりの厳しい審査や経営指導を受けながら「150万円の融資」をうけられた。その人たちが喜び勇んで、みんなで改装に取り組んでいる姿が映し出されていた。
 前述したように私は銀行に勤め、融資業務に長く携わってきたが、そのような「生きた融資」をした実感を持ったことは無い。一般に銀行は、「金の必要な人には貸さない。あまり必要でない人に貸す」のである。金の必要な人は危ないからだ。不必要な人に貸せば安全だし預金として残り、その預金をまた他の人に貸せるのだ。
 こうして銀行は業績を拡大していった。
 真の「国民のための銀行」とは何か? 現役時代から常に頭にあった疑問に対する一つの回答を、このNOP銀行に見る思いがしたのであった。
                     


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