桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

不逞の輩

2017-04-12 | Weblog
共謀罪は、いよいよ審議が始まることになったが、テロ等準備罪と僭称される、この法律案は銃火器を使って社会を混乱させて暴力的に自分たちの主張を押し通そうとする連中を取り締まる法律案だとされる。何時、誰が被害者になるかも判らないテロなのだから、そのような連中の犯罪は相談した段階で逮捕して社会の安全を保つのだ、というのが、この法律を作る連中の主張だ。
一般の市民には害が及ばないし、テロ集団のみが捜査の対象だと言うが、誰が、どこで悪巧みをしているか判らないのだし、警察が盗聴や盗撮などの行為を「こいつは怪しい!」と感じた人たちに行うことは明白だ。
警察が怪しいと睨んで捜査して、さてどうなる?
多くの冤罪事件は警察の過ちた思い込みから始まっている。そして、思い込みと過ちを訂正出来ないで突き進め種類なのだから、もしテロ等準備罪と言われる共謀罪が作られたならば、もっと多くの市民が冤罪に巻き込まれることだくは確実なのだ。
それなのに学者や文化人と称する御用達人間たちは社会を欺く妄言をまき散らす。
昨日は毎日新聞に桜井よし子先生だ。
「乱用の恐れは払拭された」たとする話を載せたが、中味は空っぽで社会を騙すことばかりだ。
最初は「安易に導入すれば拡大解釈されて言論の自由や思想・信条の自由が否定される恐れがあり、しっかりとした歯止めがない限り、法案には反対の立場を表明した」とあって、客観的に法律案を考慮しているかのように言うが、それでは賛成の評価はどこかと読めば「今回のテロ等準備罪を見ると、その歯止めが十分にかけられており、私の考え方合致する。対象犯罪を2 77に絞り込み、武器購入や下見などの外形的な準備行為がなければ適用されない。乱用の恐れは払拭されたと評価できる」のだと言う。
対象犯罪を半分にした、と聴けば、それは配慮したな!と思うかも知れないが、どんな法律があるのか、知っているのだろうか。
道路交通法、水道法、下水道法なともある。これらの法は、なんでテロに関係あるの!と言いたいよなあ。「下見などの外形的な準備行為」と言うならば花見だって、そうじゃないの?武器購入ならば、今だって逮捕出来る法律が存在するのだから、桜井先生が乱用の恐れは払拭された!と言っても納得できない。
「戦前の治安維持法を引き合いに出して法案を批判する声も聞くが理解に苦しむ主張だ。仮にテロ等準備罪で言論を弾圧するような事態になれば内閣が吹っ飛ぶだろう。今回のテロ等準備罪の下でそんなことはあり得ない」てして懸念を一蹴するが、ここに桜井先生の浅はかと妄言が集約されている。
乱用を行うのは時の権力の意識を忖度する警察だ。言論弾圧したらば内閣が吹っ飛ぶと言うが、内閣と警察は同一組織なの?今でも内閣は「それは警察や検察が適宜に捜査する」とか「適宜に捜査したことだ」として質問に答えないことがある。斡旋利得専門業者みたいな政治屋が多くて、警察や検察の暴走を止める意思がない自民党政権にテロ等準備罪と言う共謀罪を与えたならば、確実に時の権力が行う不正などを追及する市民は監視され、弾圧される。
話の最後は、北朝鮮が暴発するとかの脅しだが、桜井よし子先生の賛成談は社会を欺く嘘だ。騙されてはいけない。