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【スイス国民がCS救済のオイルマネーを歓迎するしかない理由】クレディスイス危機が教える石油価格が下がるとヤバい理由③

2022-12-09 20:40:53 | 世界共通
前回からの続き)

 前述したように、産油国は現時点の原油価格「1バレル80ドル前後」もの高さを謳歌している・・・ようにみえて、じつは小麦などの輸入品価格の上昇や、原油のドル売上額の実質価値の低下(アメリカインフレ進行つまり米ドルの単位当たりの購買力の低下)などのせいで、実質的な儲けは期待するほどには増えてはいない、と考えられます。となると、かの国々としては、上記のような石油の販売(貿易)だけだと差し引きの利益の今後が不透明だから、いま手元にある利益・・・って、ありていに言えばドル(石油交換券)を少しでも殖やすべく運用(投資)しよう、という気になる、というものです。

 本稿で書いている、スイスの金融大手クレディ・スイス・グループ(CS)へのサウジ・ナショナル・バンク(サウジアラビア)の資本参加は、こうした意図のもとで決定された、とみるべきでしょう。このCS株は、2007年のサブプライム・ローン・バブル崩壊直前に記録した上場来高値(80スイスフランあまり)の後は長期低落トレンドに移り、今年に入ってからも延々と下がり続け、直近(8日)では3フランにも満たないという上場来安値付近にあります。であれば、いまのタイミングで、たった?15億スイスフランの出資でCSの筆頭株主になれる!というディールは、このサウジの銀行にとってはオイシイ・・・って、上記の目論見を満たしてくれそうに思えることでしょう(?)。他方で、同じオイルマネー系かつ同じ狙いで2008年以降にCSに巨額を投じたカタール投資庁あたりは、ただでさえ保有CS株の値下がりで含み損が拡大していたところの上記増資で、ダメージがさらに大きくなって相当にイラついているでしょうが・・・

 さて、(1856年設立の)伝統あるCSがオイルマネーにこうして取り込まれていく様を、CSの本拠地スイスの人々はどう思っているのでしょうか・・・って内心、やはり複雑な気持ちでしょう。そのあたり、まずは「石油で儲けているからっていい気になりやがって」などと嫉妬も入り混じった感情がわき上がる・・・ものの冷静になってみると「でもオイルマネーの支えがないとCSは・・・」ってことが分かる、といった感じです。そのとおりで、もし今回の増資等が得られなかったら、CSはほどなく過小資本から債務超過に転落し、最終的に「ベイルアウト」・・・って公的資金(≒スイス国民の血税)の注入が不可避となる事態に陥るでしょう(?)。ところがCSは、いわゆる「Too Big To Fail」(デカすぎてつぶせない銀行)であるところ、これに必要な額が巨大すぎる・・・ってスイスの国力(経済規模等)に照らして、といったことになります。となれば、それでも足りないところを同国の中銀であるスイス国立銀行が財政ファイナンス(CS救済資金捻出のために振り出されるスイス国債の直接引き受け)でおカネを大増刷して埋め合わせするしかなくなって、その結果、スイスフランの信認は急降下する・・・ってドルユーロみたいなインフレ通貨に堕する・・・

・・・くらいなら、まだオイルマネーのほうがマシ、ということです。こうしてCS、サウジら、そしてスイス国民も、何だかんだで(?)このたびのスキームで皆ハッピー・・・と思うしかないでしょう。

 しかし・・・

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