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【中国、ドル以外に人民元の裏打ち資産を見出せず…】米中貿易戦争が教える両国の残念ぶり⑤

2019-06-01 00:01:06 | アジア

前回からの続き)

 これまで綴ったように中国は、対米貿易の対価としてドルを稼ぎ、これに人民元の裏打ちをさせてきました。ということは、中国にとっては自身の通貨「人民元」ではなくアメリカの通貨「ドル」のほうが「価値のあるもの」との認識であり、ゆえにそのドルを大量に保有することが強国の証だと信じているのでしょう・・・(?)

 ・・・ですが、こちらの記事を含めて何度も指摘しているように、ドルは本来、インフレな通貨、具体的には実質の利回りがマイナスになる通貨です。以前記事で書いたことなのでここでは詳述しませんが、本稿前段で綴ったように貿易赤字構造からの脱却が不可能であり、財政収支の改善も絶望的な状況のもと、アメリカはドルを増発する以外にこの「双子の赤字」に対処する手段はない、といった感じでしょう。ゆえにドルは時間の経過に比例してどんどん価値が低下していくから、これを「価値のあるもの」と認識する中国のような経済もまた、インフレに苦しめられるということになります。このあたりはこちらの記事に書いた、ニクソン・ショック以降の原油価格の激しい上昇とかOPECの結成等といった歴史が物語っているわけです。

 そしてドルは・・・そもそもその発行国アメリカのモノやサービスとの交換券ですが、これらのクオリティのレベルは・・・こちらの記事で述べたように「アメ車」が象徴しています。さらに上述のとおり、多くのモノのジャンルにおいてすでにアメリカ製は絶滅(?)しています。であれば―――少なくともかなりのモノを自前で作れるようになった中国には―――「メイド・イン・USAとの交換券」としてのドルには魅力があるとは言い難いし、それを集めるニーズも乏しいでしょう。中国にとって、アメリカからどうしても買わなければならないようなものはない、といえるためです(?)。

 このように、ドルは本当は「価値のあるもの」とするのは無理のある通貨(?)・・・にもかかわらず中国がせっせとコレをかき集めるのは、ドルがまだまだ基軸通貨≒石油交換券であるためという点と、本質的なところでは人民元に価値を与える手段をドル以外に同国が持ち得ないためというのが大きいと考えています。前述のように、このあたり日本やアメリカ等は自国の国債による裏付けで自国通貨の信認を保っているのに対し、中国の場合は国債マーケットが未成熟であることなどから、日銀やFRBなどのような振る舞い(国債オペ等)は難しいところでしょう。だからこそ中国は、こちらの記事に書いた狙いのもと(?)、「ゴールド)」をしこたまため込んでいるわけです・・・が、これに依拠した通貨システム、要するに「金本位制」を上手に運用するなんて、かの国に本当にできるのだろうか?っていうのが正直な思いです。

 そんなこんなで結局、中国は、これまでも、そしてこれからも、かなりの程度、ドルに頼らざるを得ないということになりそうです(?)。そしてこれはドルとアメリカを大いに支えることにもなるわけで・・・

(続く)

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