(前回からの続き)
前回、一帯一路構想を進めて欧州との連携強化を目指す中国の最大のねらいは、欧州連合(EU)の共通通貨ユーロをさらに多く獲得しようというものだとする個人的な見方を綴りました。これには中国の、アメリカすなわち米ドルへの依存度を下げたいという戦略的な意図があるものと推察しています。
しかし、これ本質的には現状と同じことといえそうです(?)。たしかに、上記構想の発展を通じて中国はもっとたくさんのユーロを手に入れ、それによって自国の外貨準備に占めるユーロの割合を高める(ドルの割合を下げる)ことができるかもしれません。けれど、中国がこうしてユーロを増やしたところで、自国の経済や金融通貨制度を外国通貨の信認に依存するという根本的なところは、いまと何ら変わらないわけです(って、まあその依存度がこれまでの米ドル一辺倒から多少は分散化されることにリスクヘッジの意義が無いとはいえないかもしれませんが)・・・
こちらの記事等で書いたように、世界の主要通貨は、その通貨発行国の国債におもに裏付けて発行されています。実際、主要先進7か国(G7:日米英独仏伊加)の通貨はすべてそうであり、だからこそ各国はG7に位置付けられる、ということもできるかと思います。自国の通貨や国債の価値を自分自身で維持向上させるだけの経済力がある、といったような意味です。そんなことでこれら各国の通貨は国際的にも価値が認められるハードカレンシー(国際通貨)として、日々、世界のマーケットで自由に取引されているわけです。
これができないのは新興国です。よって新興国は自分の通貨の価値を上記のハードカレンシー・・・というより大半は基軸通貨(本ブログでは「石油交換券」)である米ドルにペッグさせる(紐づける)しかありません。われわれの通貨は1単位当たり〇ドル分の価値がありますよ~などとやって、その交換レートが一定のレンジに収まるように為替操作を行う、というものです。
では中国はどちらか?・・・って当然、後者すなわち新興国型になります。自身の通貨「人民元」の価値をドルで裏付けて確保している、ということです。具体的には、こちらの記事等で書いたように、中国は人民銀の資産勘定の2/3(推定)を外貨、ぶっちゃけドル(米国債)にしているわけです。このあたりこそ中国が上記G7各国と決定的に違う・・・というより、そのレベルに達していないところだと考えています。であれば・・・上記のとおりでしょう。すなわち、ドルとかユーロだとかの違いによらず、中国が頼りにするのは引き続きヨソの国の通貨だということです。
ちなみに上記状況は、1998年以降(2013年まで)のG7会合にオブザーバーで参加していたロシアも同様です。その意味で同国は、このグループに呼ばれる資格を満たしていないように思えますね。