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【ECB、次期QEで「ESM債」購入か?】これから始まる?真のギリシャ危機⑦

2018-09-03 00:02:49 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 「終了」との言葉とは裏腹に、終わりのなさそうな(?)ギリシャ支援等を円滑に進めるに当たって、EUはその金融安全網であるESM欧州安定メカニズム)の強化に乗り出すだろうと予想しています。EUは、ギリシャという小国に対するESM支援の突出した印象を希釈するため、そしてギリシャに加えて今後高い確率で発生が予見される他のEU加盟国の危機に備えるため、さらに多くの資金の確保に動かざるを得ないだろうということです。

 で、このときEU各国はESMへの追加出資を求められることになります。しかし、どこも財政収支が厳しい中、これに気楽に応じられる国は皆無と言っていいでしょう。と考えると、今後のEUにおいて想像されるのは、ESMに出す資金を調達するためにEU各国が借金をする、すなわち国債を発行して市中からおカネを集める、といったことになるのではないかと・・・

 ・・・ですが、これ債券マーケットに大量の新規国債を流通させることにともなうリスクを生みます。つまり、各国債の価格低下=金利の上昇を招く懸念があるということです。このとき誰が苦しい思いをするのかといえば、巨額借金の返済負担にあえぐギリシャ・・・をはじめとするEU重債務国。ということで、彼らを手厚く支援するためにESMを強くしようと思ったら金利が上がってしまい、逆に彼らをもっと厳しい局面に追い込んでしまった・・・なんて皮肉な事態になりかねません。

 う~ん、いろいろ考えてみても、こんな具合でなかなかうまくいかないな~となって・・・EUは、本当に本当の(?)最終策にたどり着くことになります。それこそが、欧州中央銀行ECB)の量的緩和策QE)という名の資産購入策。「何だ、それではいまと同じじゃん」って、たしかに債券買いという意味ではそうなのですが、今度のフェーズでは・・・「ESM債」を買い入れるというスタイルになる(ことが検討される)のではないか、と個人的に予想するものです。

 日米などと違ってECBのQEが難しいのは、これによるEU各国の扱いに不公平が生じないように上記キャピタル・キーを設定せざるを得ないこと。そのため、QEが必要な国にはその効果が不十分(金利が高過ぎて景気低迷)で、そうでない国には余計な効果(金利が低過ぎてバブル発生)が及んで、どの国にもストレスがたまることになります。この障害を排除するため、本来は国の枠を超えた「EU共通債」を買い上げるのが適当ですが、これが現時点で存在しない(その発行体となるべきEU財務省が存在しない)ため、同債券と性質が類似するESM債を買おう、というわけです。これによってドイツ等の金利を不自然に下げることなく、他方で低利のESMマネーをギリシャ等に融通すれば、彼らに対する支援にもなるわけで・・・

(続く)

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