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【中国、金の「売りオペ」ができず、せっかくの金は「宝の持ち腐れ」に…】中国もロシアもアメリカ陣営だ④

2020-01-19 00:01:00 | 世界共通

前回からの続き)

 先述のように中国は、自国の通貨・金融政策をアメリカから独立させるべく、中国人民銀行(人民銀:中銀)のドル米国債に替わる資産としてゴールド)を急速かつ秘密裏に(?)積み上げていると推測されます。では、中国はこうすることでアメリカ(ドル)の呪縛から脱することができるのか?・・・って、やはり難しいのではないか、と考えています。それは中国には、こうして一生懸命に蓄えた金を市中に放出することができないだろうから、です・・・

 どういうことかというと、上記の場合、人民銀は、理屈の上では、マーケットを相手に自身の資産である金を売ったり買ったりしながら通貨量や金利を調整することになりますが、実際には金の「買いオペ」(金融緩和≒インフレ惹起)はともかく「売りオペ」(金融引き締め≒インフレ抑制)のほうは、まずできない、という意味です。市場は、人民銀には金を使った通貨管理を適切に行う手腕がないことを見抜いているはず。したがって、もし人民銀が金を売り出したら、投資家は我先に人民元を差し出してこれを入手しようとするでしょう。そのときの人民元の将来価値は売りオペ時点での金の価値を必ず下回ってしまう(インフレになってしまう)ためです。

 もちろん人民銀にだって投資家のそうした胸の内、そして自身に通貨の価値を金に対して一定のレンジに誘導する能力がないことくらい分かっているでしょう。なので、売りオペで金を手放したら、同じ量の金を買い戻すのに通貨を増発するしかなくなる(インフレを制御できなくなる)から、金の売却はやめよう、という結論に至ります。かくして中国は、せっかく大量にかき集めた金を売るに売れず、文字どおり「宝の持ち腐れ」にしてしまうことになります。これを金融政策に供するべき「生きた資産」―――通貨供給量や金利の調整等のために売買するべき資産―――にすることができないのなら、いくら金をたくさん持っていようが、その価値は意味をなさない、ということです・・・

 このように金は難しい、となって中国は次に?ドル・米国債から自国の債券等に基づく通貨管理への移行を検討するかもしれません。ですが、日米などとは違って中国では債券市場が未成熟だし、国債をはじめとする債券の流動性も十分とはいえません。そうしたなかでこちらの記事等でも書いた「理財商品」ようするに債務がマトモに履行されるのか非常に疑わしい債券類が大量に出回っているわけです。こんなジャンク債に紐づけて通貨を発行したりしたら、それらのデフォルト等によって人民銀は大ダメージを食らい、過小資本あるいは債務超過墜ちを免れず、その結果、これまたインフレを防ぐことができなくなります。こうしたことから、このスキームも実現できそうにありません・・・

 こちらの記事に書いたように、通貨発行体たる中央銀行の最大の目的はインフレを起こさないこと。その意味で金に基づく通貨制度は理想的ではありますが、上記のとおり、人民銀にはこれを用いた政策運営なんてほぼ不可能、かといって自国債券の売買オペではインフレを抑制できない、などとなってくれば、中国が頼るべきは・・・くやしいけれど(?)自分たちの債券等よりは値持ちが良いドル・米国債しかなさそうです(?)。ということで人民元は、引き続きアメリカというヨソの国の通貨ドルの信認に寄生した「疑似ドル」としての地位にとどまらざるを得ないでしょう。そうであればもちろん、よほどのことでもない限りドル・米国債の売り崩しといった対米攻撃なんてできなくなります。それは自分自身を傷つける―――人民元の価値を暴落させる―――ことでもあるわけですから・・・

 ご存知のとおり、中国はモノマネ大国であるわけですが、その最たるものが、このドルに似せた人民元なのではないか、と思っています。いくら精巧に作られていても中国製の偽ブランド品が本家本物を超えられないように、この「疑似ドル」もまたドルを上回る価値を認められることはないのではないでしょうか・・・

(続く)

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