メディア曰く「世界経済の減速懸念で・・・」って違うでしょ!金融市場の波乱の元凶は「アメリカ」にあり!
ここのところアメリカの株価が不安定な値動きをしながら徐々に下落している感じです。その理由は、もとよりぱっとしない世界各国の景況にあるのではなく、ましてやエボラ出血熱の患者数増加(!)でもなく、これまで米株価を押し上げるエンジンとなってきた米FRBの量的緩和策(Quantitative Easing:QE)が(たぶん)今月で終了するため。ぱんぱんに膨らんだ風船に息が吹き込まれなくなれば急速にしぼむように、QEマネーの供給が止まれば株バブルが収縮するのは当たり前です。何せ米株価は、QEのせいで、実際の上場企業パフォーマンスを反映するにはあまりに高すぎるレベルに達しているわけだから・・・。
それを象徴的に示すデータが株価収益率(PER)の高さ。表面上の数値をチェックしてみたら、S&P500種株価指数を構成する企業の過去10年のPERは平均13.8倍で、今後1年は15倍くらい、といった予想がどうも多いようですが・・・。
ところが実態はだいぶ違うようです。ブルームバーグの報道によると、米イェール大学のロバート・シラー教授のCAPE(Cyclically Ajusted P/E Ratio:過去10年間のインフレ調整後のPER)は9月中旬時点で26.5倍と、長期平均値16.5倍を61%も上回っているとのこと。かりにいまの値がこの平均ラインまで下がるとすると、米株価は現時点の半値よりも下がることになるそうです。そして、株価が騰勢にあるときにアウトパフォームするように、下げ足を速めるときはしばしばアンダーシュートする―――この長期平均値をかなり下回るところまで落ち込むとのこと・・・。
さらにコワいのがこの先の米株価の見通しです。このシラーCAPEはこの20年間のほとんどにわたって平均値を上回ってきたために、(この平均値が正しいとしたら)これからは何年にもわたって16.5を下回る水準の低い株価の期間が続くだろう、というのです・・・。
とまあ、つい先日(9/18)、株価が史上最高値(ダウ工業株30種平均:17266ドル、S&P500種:2011)をつけたばかりのときに、そしてまもなくQEが終わろうというこのタイミングで、何とも不気味な現状分析&予想が出てきたものだ、と感じます。