スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

春日賞争覇戦&奇怪な意見

2021-02-14 18:47:49 | 競輪
 奈良記念の決勝。並びは宿口‐武藤の埼玉,稲毛‐山田‐村上の近畿,中井俊亮‐中井太祐の兄弟,松本に佐藤。
 中井太祐がスタートを取って中井俊亮の前受け。3番手に稲毛,6番手に松本,8番手に宿口という周回に。残り3周のホームから宿口が上昇。松本が続きました。バックで稲毛が少し引き,3番手が宿口,5番手に内で稲毛,外に松本が併走という隊列に変化。残り2周のホームの入口から松本が動き,中井俊亮を叩いて前に。外の松本が動いたので稲毛も発進。松本を叩いて先行。打鐘前のバックでは先頭に稲毛,4番手に松本,6番手に中井俊亮,8番手に宿口という一列棒状に。最終周回のホームから中井俊亮が発進したのを見て,松本が合わせて発進。中井俊亮は浮いてしまい脱落。バックで松本が迫ってきたところで稲毛の後ろから山田が番手捲りを敢行。松本は山田の前には出られませんでした。そのまま先頭に立った山田が後ろを突き放していく形でのフィニッシュとなり優勝。捲れなかった松本も最後まで踏み続けて1車身半差の2着。外からよく伸びた武藤が4分の3車身差の3着。中井俊亮が浮いた後,内を回って最終コーナーで山田マークの村上をどかした中井太祐が1車輪差で4着。
 優勝した京都の山田久徳選手は昨年7月の富山のFⅠ以来の優勝。記念競輪は2017年の佐世保記念以来となる2勝目。このレースは先行選手が記念競輪で優勝候補というクラスではありませんでしたから,展開次第で混戦と思われました。稲毛がわりと早い段階から駆けていき,松本の捲りに対して遠慮せずに番手から発進したことで,山田にチャンスが回ってくることに。中井太祐の動きも,結果的には山田の優勝を利するような影響を与えることになりました。とにかく予想が難解なレースだったという印象です。

 確かにデカルトRené Descartesは,神Deusが自己原因causa suiであるといっていませんし,自己原因が起成原因causa efficiensであるともいっていません。デカルトは自己由来性を積極的に解しますから,神は神自身の広大無辺性によって存在するというとき,この広大無辺性は神にとって積極的なもの,人間には認識するcognoscereことができない積極的なものなのですが,この広大無辺性は神の存在existentiaの起成原因ではなく,神が起成原因を有さずに存在する理由であるといっているのです。ですから確かにレヴィウスJacobus Reviusuがどれほどデカルトの著作を調べたところで,レヴィウス自身がいっていること,すなわちデカルトが神は自己原因であるといっていることは見出すことができないでしょう。
 このデカルトの反論からも分かるように,デカルトにとって何が重要であったのかといえば,神が自己原因であるか否かということと,自己原因が起成原因であるか否かということだったのであって,もしもそうした見解opinioがあるのであれば,それは奇怪な見解であるとデカルトはいっているのです。この奇怪な見解というときにデカルトが念頭に置いていたのは,哲学的に奇怪という意味ではなく,神学的に奇怪であるということだったと僕は推測します。つまりデカルトは,神が自己原因であるということと,自己原因が起成原因であるということを否定すれば,自己由来性を積極的に解しても,神学的観点を保守することができると考えていたのでしょう。
                                        
 しかし,レヴィウスやアルノーAntoine Amauldにとってはそうではありませんでした。かれらにとっては,自己由来性を積極的に解することと,神を自己原因であると規定することは,同じ意味だったのです。レヴィウスはこのデカルトの反論を受けた後で,デカルトの『方法序説Discours de la méthode』に対する反論の書を出版しているのですが,その中でも,デカルトは自己由来性を積極的に解することによって神を自己原因であると規定したという主旨のことをいっています。つまり,デカルトが神を自己原因であるということや自己原因が起成原因であるということが奇怪な意見であるといっているにしても,自己由来性を積極的にデカルトが解している以上,それ自体がレヴィウスにとって奇怪な意見だったのです。

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