スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

竜王戦&補足

2020-09-20 19:02:26 | 将棋
 昨日の第33期竜王戦挑戦者決定戦三番勝負第三局。
 振駒で羽生善治九段の先手となり,丸山忠久九段の一手損角換り4の☖2二銀。先手が棒銀に出て,新しい作戦を披露しました。
                                        
 3六に先手の歩があるのは,伸ばして取り込んだ後に打ち直したもの。この打ち直しがこれまでにはなかった指し方でした。
 後手はここから☖4五歩☗同歩☖同銀左☗4六歩☖3四銀と歩を交換。先手は☗2六銀と出て,打った歩を生かして銀交換を狙いにいきました。
                                        
 先手は手損をしているのですが,その分だけ後手の駒が上ずっていて,第2図はすでに先手の作戦勝ちとなっているようです。後手はこの指し方に対しては別の対策を講じる必要があるということだと思います。
 2勝1敗で羽生九段が挑戦者に。タイトルを失った第31期以来2年ぶりの竜王戦七番勝負出場。第一局は来月9日と10日です。

 『〈内在の哲学〉へ』に直接的に関連する考察はこれで終了です。ここからは,思惟の属性Cogitationis attributumの間接無限様態に関係する考察を少しだけ加えて,今回の論考を終了させることにします。
 スピノザは,思惟の属性の直接無限様態および延長の属性Extensionis attributumの直接無限様態と間接無限様態については,それが具体的に何であるのかを示しているのですが,思惟の属性の間接無限様態についてはそれが何かを明らかにしていません。これはここまでの考察の中で示した通りですし,またそれが何であるのかということを,僕自身も具体的に持ち合わせているわけでもありません。そこで,このことについてそれが何であるのかを探求している考察があるのかといえば,あるのかもしれませんが僕は知りません。近藤はそれを諸観念の総体といっているわけですが,その根拠を明らかにしているわけではないからです。ただ,スピノザが思惟の属性の間接無限様態が何であるのかを示していないのはなぜなのか,という観点からそれを説明した論考であれば,僕はひとつだけ知っています。なのでそれをここで紹介し,いくらかの検討をしてみることにします。
 これは河合徳治の『スピノザ哲学論攷』の第一部第二章第二節の中に出てきます。前もって注意しておけば,この第二章は「形而上学的原理としての無限概念」というタイトルになっていて,無限infinitumという概念notioについて深く研究したものです。つまりそれは,思惟の属性の間接無限様態を明らかにするというような目的を有した研究ではありません。ですから河合は確かにこの部分で,スピノザが思惟の属性の間接無限様態について具体的に言及しなかった理由については述べていますが,それはこの章の全体という意味においてはごくわずかな部分にすぎません。書評で示しておいた通り,この本は諸論文を書籍化するにあたって繋がりのある一冊にしたという点で,『〈内在の哲学〉へ』と同じ形式なのですが,この第二章を単独に抽出した一論文としてみた場合でも,当該の個所というのは枝葉末節に該当するといって過言ではありません、それでもここには説得力が含まれていると僕は思いますから,それをここで紹介しておきたいのです。

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