スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

羽田盃&全体の力関係

2023-05-11 19:27:36 | 地方競馬
 昨晩の第68回羽田盃
 ポリゴンウェイヴが逃げて向正面に入るあたりでは4馬身くらいのリード。2番手にミックファイア。2馬身差でトノパーとサグアロ。5番手にリベイクフルシティとヒーローコール。4馬身差でオーマイグッネスとオピニオンリーダー。3馬身差でブルマリンシェールとラーテル。2馬身差でドラケンとキングオブザナイル。2馬身差でタイガーチャージとサムタイムアゴー。最後尾をコルドゥアンとサベージが併走と縦長の隊列。最初の800mは48秒6のミドルペース。
 向正面でポリゴンウェイヴのリードは徐々に縮まっていき,3コーナーではミックファイアが外に並び掛けていきました。コーナーの途中でミックファイアが前に出てポリゴンウェイヴは一杯。先頭で直線を向いたミックファイアを追い上げてきたのはヒーローコールと,向正面から外を追い上げてきたサベージ。しかし直線ではミックファイアがこの2頭との差をさらに離していって楽勝。ヒーローコールが6馬身差で2着。サベージが1馬身半差で3着。
 優勝したミックファイアは南関東重賞初出走での優勝。南関東重賞に出走すること自体が初めてだったことから分かるように,確たる実績はありませんでしたが,デビューから3戦して3勝,そのいずれもが楽勝と底を見せていない馬でした。とはいえここが3歳になって初めてのレースで,ブランクがある分,簡単ではないだろうとみていたのですが,とくに問題となりませんでした。2着馬と3着馬がこのメンバーでは実績上位で,走破タイムからして力は出しているものと思います。よってそれらにこれだけの差をつけたこの馬は,相当の能力の持ち主とみなければなりません。少なくとも羽田盃の勝ち馬の平均的な能力はだいぶ上回っているとみて間違いないと思います。
 騎乗した大井の御神本訓史騎手は金盃以来の南関東重賞60勝目。第58回,64回に続き4年ぶりの羽田盃3勝目。管理している大井の渡辺和雄調教師は南関東重賞7勝目。羽田盃は初勝利。

 最後に次のことを注意しておきます。
 potentiaの表現のあり方に着目した國分の方法は,能動actioと受動passioの説明としてきわめて適したものです。しかしこれは,あるものと別のものの関係に注目することになるので,この関係において一方の能動と他方の受動を規定することができるにすぎません。現実的に存在する人間は,第二部自然学②要請三にあるように,外部の物体corpusから多様の仕方で刺激されるafficiので,ある特定の物体と特定の関係だけを結ぶわけではないのです。ですからあるものとの関係においては能動と規定されるにしても,ほかの物体との関係においてはそれが受動であるという場合もあるのです。
                                   
 BがAに銃で脅されることによってAに対して金品を提供するとき,Bが金品を提供する運動はBの徳virtusであるけれど,この関係においてはAの力あるいは銃の力も含めた上でのAの力がBの力よりも多く表現されているので,Bの行動は受動であってAの行動の方が能動と規定されるのです。しかし,だからAが銃で脅してBに金品を提供させるという行為自体が能動であるということになるのかといえば,必ずしもそうではなく,それはこの関係においてのことにすぎません。たとえばAが過度な金銭欲に駆られてBを恐喝するのであれば,Bの恐喝行為はそれ自体ではBの身体corpusの徳であるといえるのだとしても,ここではBの力よりも金銭nummusの力の方が多く表現されていることになりますから,Bの受動であるということになります。つまり同じ行為が,ある関係においては能動であると規定されても,別の関係においては受動であると規定されるという場合があるのであって,実際にある現実的に存在する人間の行動が受動であるか能動であるかを決定するdeterminare際には,その人間の力が全体的に見てどのように表現されるexprimunturのかということを考えなければなりません。一般的にいえば,ある人間が別の人間を恐喝するというようなことは,恐喝される人間にとっての受動であるのはもちろん,恐喝している人間にとっても受動であると規定してほぼ間違いないといっていいでしょう。
 このことは,第四部定理五九備考で,殴打を徳といった後でスピノザがいっていることと同じです。

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