スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

漱石のドストエフスキー評&歯科検診

2010-10-30 00:53:11 | 歌・小説
 『明暗』がドストエフスキーから多大なる影響を受けているということについては,僕はやはり否定し難いと思います。しかし,あるものから影響を受けるということと,そのものを高く評価するということは異なるということも事実でしょう。したがって,夏目漱石がドストエフスキーから大きな影響を受けて『明暗』を執筆したのだとしても,直ちに夏目漱石がドストエフスキーの小説に高評価を与えたとはいいきれないわけです。はたして漱石はドストエフスキーをどのように評価していたのか。僕は現在はこのふたりの作家以外には小説というものを読まないということもあり,これはとても気になるところです。そこで今度は,その点について少し考えてみたいと思うのです。ただしここでは,漱石によるドストエフスキーに対する直接的な言及ではなく,あくまでも『明暗』を手掛かりにすることにします。
                        
 『明暗』において社会主義者呼ばわりされる小林の口からドストエフスキーの名前が出てくるのは,わりに早いうちです。『明暗』は百八十八まで書かれて未完となりましたが,この場面は三十五です。小林はまず次のように言っています。
 「露西亜の小説,ことにドストエヴスキの小説を読んだものは必ず知っている筈だ。如何に人間が下賤であろうとも,又如何に無教育であろうとも,時としてその人の口から,涙がこぼれる程有難い,そうして少しも取り繕わない,至純至誠の感情が,泉のように流れ出して来る事を誰でも知っている筈だ。君はあれを虚偽と思うか」。
 これは新潮文庫版の文章です。ことばを発しているのは小林。文中で君と呼びかけられているのは主人公の津田です。
 小林はここでは津田がドストエフスキーの小説を知っているという前提に立って話しているといえますが,作中では津田はドストエフスキーを読んでいないという設定になっています。したがってこの問いに対する返事も「僕はドストエヴスキを読んだ事がないから知らないよ」という実に素っ気ないもの。しかし,この一方の熱さと他方の素っ気なさの中に,漱石のドストエフスキーに対する評価というものが見え隠れしているように僕には感じられるのです。

 僕の日々の生活自体は徐々に以前のように戻っていきましたが,の死に伴ってこなさなければならない手続きというのはかなり多くありました。その大部分は母がやりましたが,いくつかは僕も手伝いましたので,そういう意味ではむしろ以前よりも忙しくなったといえるかもしれません。月が変わって,9月となり,3日にI歯科に出掛けました。来るように言われていた定期検診です。
 この日も飛び込みでしたが,問題なく受けられました。以前にここには3人の人がいたといいましたが,ひとりは歯科医,ひとりは歯科助手,そしてもうひとりが歯科衛生士だったようです。通っている間ずっとこの歯科衛生士が治療を行っているシーンを僕は目撃したことがありませんでしたので,僕は単なる事務員と勘違いしていたわけです。
 最初にI先生が僕の歯を診察。とくに問題はないということでしたし,僕自身もどこかに痛みを抱えていたというわけではありませんでしたから,あとは歯石を取るというおなじみの作業だけで終了しました。そしてこのとき,歯科衛生士がこの作業を始めたのです。というか,僕は歯の治療中はずっと目を閉じていますから,確かに歯科衛生士が始めたということはできませんが,少なくとも僕が目を閉じるとき,僕の傍らにいたのは歯科衛生士だけでしたから,僕は歯科衛生士が治療を行っているものとずっと思い込んでいました。ところが,治療の終了を告げられて僕が目を開けたとき,そこには歯科助手の方がいましたのでちょっと驚きました。この日,I歯科に着いたのが11時頃。家に戻ったのは12時頃で,飛び込みでしたから少しの待ち時間もあり,実際に僕が治療のための椅子に座っていた時間は30分あるかないかくらいだったと思います。その間に治療の担当者が変わっていたのか,あるいは最初から歯科助手の方が治療していたのかは分かりませんが,担当が変わったような気配は感じませんでしたから驚きがあったというわけです。助手の方は以前に通っていたときにも治療を受けたことがあります。
 次の定期検診も3ヶ月ほど経過したらとのこと。したがって12月中にはまた行くことになろうかと思います。

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