スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王座戦&無限連鎖の一部分

2011-09-20 22:01:33 | 将棋
 現代の首都である東京から古の都,京都へと舞台を移した第59期王座戦五番勝負第二局。
 羽生善治王座の先手で相掛り。最近では珍しく浮飛車に構え,早々に3筋を突き捨てる,何年か前までよくあった将棋。後手の渡辺明竜王から角交換すると,先手は3四に歩を垂らしました。先手の早繰り銀に後手の腰掛銀。後手が角を打って桂得に。ゆっくりできない先手が攻めに出て,後手が受けに回る展開に。個人的にはやや意外に思えた攻め筋から先手が飛車を打ち込み,もう1枚の飛車を切って角を取ったところから検討開始。
                         
 応手は二通りしかありませんが△同歩の方でした。こうなると▲3一角△5一玉▲5三桂までは一本道と思います。ここで△同桂は▲2二角成から金を取られますので,△3ニ銀左と駒を使う一手。飛車を取られてはいけませんから▲4一桂成も当然で△同玉は▲5三桂が痛そうですから△同銀も必然。次の▲5三桂も継続手として当然でしょう。そしてこれにも△3ニ銀上しか考えられませんでした。▲1一飛成も検討の本線。△2一桂も同様。そこで▲2二角成を検討していましたが▲3四歩と叩きました。取れば交換になり後手は駒を渡したくないでしょうから△2三金と逃げるのは当然に思いました。そこで▲1二龍(第2図)。金を入手すれば一手詰めの状況ですからなるほどと思えた手順でした。
                         
 さしあたり何らかの受けが必要。△6三歩はそれ自体では受かっていないので▲2三龍と取るのだろうと思っていましたが,まったく予想していなかった▲4四銀でした。△同銀は▲3ニ龍でこれはつまらない。△6二玉と早逃げするのかと思っていたら△4五桂と反撃に。▲3三歩成は攻め合いでもありますが,後の角の王手に歩合いを用意する意味もある攻防手。それでも△4四銀を検討していたのですが,△同桂と取りました。▲4三銀不成は検討していた手のうちのひとつ。△同銀▲2三龍まで自然な進行。これは詰めろで先手玉も詰まないので△6二玉は予想通り。ここで検討していたのは▲6一桂成でしたが▲7三歩と詰めろを掛けました。するとすぐさま△5七銀。なるほど▲7七歩ないしは▲7九歩と打てなくなっているので即詰みでした。
 渡辺竜王が連勝で二冠に王手。このまま一気にいってしまいそうな勢いを感じました。注目の第三局は27日です。

 原因と結果が別のものの代表というのが個物であるといえます。どんな個物の本性にもそのものの発生というのは含まれていませんが,その本性にそのものの存在が含まれていないようなものは,それが存在するために,そのものの外部に別の原因を必要とするからです。
 現在の考察の上でここで重要となってくるのは,このことが第一部公理三からの必然的な帰結であるということです。そこで個物というものが現実的に存在する仕方を一般的に示したのが第一部定理二八であり,個物の観念に関しては第二部定理九であるわけです。いい換えれば第一部定理二八も第二部定理九も,第一部公理三からして,『エチカ』においては必然的に導かれなければならなかった定理であったということが可能であると思います。ところがその第一部公理三というのは,これまでに解明してきたようなコペルニクス的転換により,第一部定義一によって説明されなければならないような公理なのです。したがってこれは当然のことといえるでしょうが,第一部定理二八も第二部定理九も,やはり第一部定義一の立場に立って説明されなければならないような定理であるということになります。
 すると,次のような事柄が帰結するであろうと僕は考えます。
 第一部定理二八も第二部定理九も,無限に連鎖するという点では同じです。しかしその無限連鎖のどの一部分を任意に抽出したとしても,それは自己原因の変状として原因から結果が必然的に生じているということになるでしょう。ここまではこのことを名目的に考えてきたわけですが,ここで実在的視点を導入します。
 まず第一部公理一の意味として自然のうちには実体と様態だけが存在します。さらに第一部定義三第一部定義五により,そのうち実体だけが自己原因であるということが分かります。そして第一部定理一四により,自然のうちには神だけが実体として実在します。つまり第一部定理二八および第二部定理九の無限連鎖のどの一部分を抽出しても,それは,第一部定理二五備考でいわれているように,神が自己原因であるといわれるのと完全に同じ意味で,個物ないしは個物の観念が発生するといわれているということになるのです。
コメント
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