田舎では「タングツ」と呼んでいた。まだズック靴が高価で、一般に普及していなかった頃、鼻を垂らしたガキどもはみんなこれを履いていた。裏に布があてられていないため、真夏に履くと、靴の中はご想像の通りの悲惨な状態になる。運動性能は0。運動会が迫ると、町に一軒しかない呉服屋さんで皆足袋を買い、当日履いて走った。裏にゴムが貼られていない正真正銘の足袋だが、「タングツ」よりはるかに早く走れた。近所や風呂屋に行くときは下駄。使用頻度が高いため1年で歯が擦り減る。今思うとかなり原始的な生活様式。初めて革靴を買ってもらったのは、高校に入った時。定番のコインローファー。気の利いたやつは奴は1セントコインを挟んでいた。おっと、閑話休題。ミツウマが製造していた、昔言うところの「タングツ」が人気を集めているそうだ。時代が変わり、今は「浅靴」と呼ばれているようだが(記事はふりがながない不親切なもの。だが、タングツではないはず)。「かわいい」などの理由で、特に女性からの注文が多いとのこと。「所変われば品変わる」である。価格は1足3500円。昔なら100円で買えたが。
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