しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

スターウォーズ/最後のジェダイ

2018年01月14日 22時47分00秒 | 作品名(さ行)
第443回「このエピソードが必要だったと言える日が来るのだろうか?」
新年あけましておめでとうございます。昨年の12月中旬に風邪をひき、さらに仕事が
忙しくなってしまい、すっかり更新をサボっていました。映画鑑賞は続けているので、これからまた自分のペースで続けて行きたいと思いますので、本年もよろしくお願いいたします。まずは新年一発目の作品は「スターウォーズ/最後のジェダイ」です。あらかじめ言っておきますが、私はスターウォーズが大好きです。それを公言したうえで、このブログを書いています。

帝国軍の残党によって作られた「ファースト・オーダー」は勢力を強め、全宇宙を支配下に治めようとしていた。それに対抗すべく結成されたレイア・オーガナ将軍率いるレジスタンス軍だったが、惑星ディガーの拠点を攻撃され壊滅の目前となっていた。最後の希望を求め、かつての伝説となったジェダイの騎士ルーク・スカイウォーカーを戦線に復帰させるべく彼の隠れ家を訪れたレイだったが、彼の決意は固く協力を拒まれてしまう。さらにレジスタンス軍の状況は悪化する。拠点は破壊され、わずかに残ったレジスタンス軍は残った数隻の戦艦に乗り、ファースト・オーダーから逃げるが、簡単に追いつかれてしまい、追い打ちをかけるように燃料も残り僅かとなってしまう。そこでフィンとポーは起死回生の作戦を実行することを決意する。果たしてレジスタンス軍の運命は、そしてルークとレイはレジスタンス軍を救うことは出来るのか?

このブログを書くまでに2回の鑑賞を必要としてしまった。1度目はもちろん公開日には鑑賞していた。ところが翌日に体調を崩してしまった。鑑賞中からその兆候があったのかはわからないが、途中で睡魔に襲われ、断片的にしかストーリーを覚えていなかった。そこで2度目の鑑賞をすることになった。1度だけでは正しい判断が下せないと思ったからだ。しかし、それでも結論は大きく変わることはなかった。とても残念だ。

この作品の点数は★★★☆☆だ。前述したようにこのシリーズのファンである私が下した点数がこの低評価なのだ。ネット上での評判を見ても、賛否両論が渦巻いているが、私はこのエピソード8に関しては、失敗だと思っています。馴染みのキャラクターは多く登場するし、スターウォーズの世界観を破壊したとまでは言わないが、このエピソードは本当に必要だったのだろうか?と考えてしまった。

問題点はいくつかある。1番大きいのは脚本。全銀河を巻き込んで展開されている戦いのはずなのに、ファースト・オーダー側もレジスタンス側もこじんまりとした戦いを展開してしまい、壮大な一大叙事詩的な印象が全く無い。レジスタンス軍が追い詰められ、ファースト・オーダーから逃亡していくというとても単純な1プロットで描かれている。伏線や別キャラクターの展開など3つほどのプロットはあったが、効果的に絡まっておらず、展開の面白味に欠けてしまっていた。

もう1つはこの新3部作のメインである、カイロ・レンとレイの関係性。フォースの力に目覚めジェダイの騎士へとなりつつあるレイ。ダークサイドに落ち重要な敵キャラであるはずのカイロ・レン。この二人の関係性がなんの結論も無く、ただただダラダラと展開されていく。正直、安っぽいメロドラマが観たかったわけじゃない。アナキンとアミダラの切ない結末がわかっている悲恋であれば、観ている側も盛り上がるが、未熟な騎士見習いと悪になりきれない甘ったれた僕ちゃんの恋愛もどきなんて見ていても面白くはありませんでした。(しかも、2人にそんな意図を持たせた演出かは今作では描かれなかった。)

今作は監督であるライアン・ジョンソンが脚本も兼務している。個人的にはJ・J・エイブラムスが脚本に参加するなどしたほうが良かったように思えてなりません。前作には3人の人間が脚本に参加しています。なぜ今作は彼1人にまかせたのでしょうか?それが間違いなのかどうかは今はまだわかりません。この後に作られるエピソード9がどのような内容になるのか?その出来次第によっては、このエピソード8が傑作に変わる可能性を秘めているのかもとポジティブな考え方が出来るのもファンだからなのかも知れません。

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ジャスティス・リーグ

2017年12月04日 23時09分02秒 | 作品名(さ行)
第442回「なぜこんなにも書けなかったのか?」
実際には公開日(11月23日)に観たのです。そう、大好きなアメコミ映画「ジャスティス・リーグ」です。評価は限りなく満点に近い★★★★☆です。個人的にはとても楽しめた作品でした。ではなぜブログが今頃になったのか?仕事が忙しかった?身体的にキツかった?それももちろんあります。でも一番の理由はこの作品の内容そのものよりも、それ以外のところでの要因が大きいような気がしています。今回のブログはちょっと書き方が変わっています。

ドゥームズデイとの死闘の末、自らの命をもって地球を救ったスーパーマン。世界中が悲しみに包まれると同時に世界各地での犯罪も急増していく。スーパーマンの遺志を継ぎ、戦うことを決めたバットマンとワンダーウーマンだったが、彼らの力をはるかに上回る強大な力をもった敵が地球へと侵攻しようとしていた。かつて地球は滅亡の危機にあった。その時は人類、アマゾン族、アトランティス人が協力し、さらにはランタンの協力も得て危機を回避した。その時に地球を手に入れようとしたステッペンウルフが再び地球に現れたのだ。彼はかつて自身の所有していた3つの「マザーボックス」を集め、再び地球を手に入れようと行動を開始する。アマゾン族とアトランティス人が厳重に保管していたマザーボックスはステッペンウルフに奪われてしまう。残る一つは人間が持つ物だけとなってしまう。危機を回避するためにスーパーパワーを持つ仲間を集めるバットマンとワンダーウーマン。超加速能力を持つフラッシュ、水中を自由に泳ぐアクアマン、あらゆるコンピューターを操るサイボーグ。しかし、彼らはまだ寄せ集めの烏合の衆。それぞれの能力を生かし切れずにいた。それでも彼らは立ち向かうことを決意し、ある禁断の一手を打つことになる。果たして彼らはチームとなり、地球の危機を救うことができるのか?

ヒット作を連発し、順風満帆のマーベル作品群に比べて、こちらのDC群はあくまで個人的な印象ですが、まだまだ手探り感が否めません。クリストファー・ノーランが監督した「ダークナイト」3部作はもはや別作品となってしまい、「マン・オブ・スティール」「バットマンVSスーパーマン」を作り上げたザック・スナイダー監督はその度に作風が暗いと揶揄され、さらに悪いことは続き、家族の不幸により完成前にザック・スナイダー監督が降板するというトラブル。(撮影は終わっていたようで、今作のクレジットは変更なし)さらにこの後に予定されているバットマン単独作品はベン・アフレックの監督降板(主演は継続だが)とまあ、色々と穏やかにはいかない要因を含んだ状態だ。

そんな風に不安要素をいくつも抱えている中で、ようやく実現した「ジャスティス・リーグ」だったので、個人的にはとても楽しめた作品でした。今作できちんと登場した新キャラクターの3人もそれぞれの見せ場があり、多人数が登場したにも関わらず、脚本は最後までとても魅力的に描かれていました。特にフラッシュは、ヒーローになったばかりの若者として描かれたことで、暗いと言われた作風の中で緩衝材のような役目を見事に果たしていました。この後に単独作品も予定されているので、とても楽しみになりました。

では減点は何かというと、一番大事な悪役です。今作の悪役は地球を滅ぼすほどの力を秘めているはずなのに、現れたのはたった1人。あとは感情も統率もない雑魚キャラクターだけという設定。持っている力についても詳しい説明はなし。もっと魅力的なキャラクターが何人も存在する大軍団だと思っていたので、ちょっとガッカリでした。さらには解決の仕方もアッサリとしていて、「え?これで終わり?」というくらいの描き方でした。

正直、フェーズ4までの計画があり、着々と進み続けるマーベルに比べて、前途多難なDC群という印象でした。スタッフロール後のおまけでは、さらに今後を予期させるようなボーナス映像もありますが、大丈夫なのでしょうか?アメコミ映画ファンとして期待をしつつも、リブートを繰り返し、キャラクターを演じる俳優がコロコロ変わってしまうようなことが無い事を祈っています。

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アトミック・ブロンド

2017年11月14日 22時32分44秒 | 作品名(あ行)
第441回「世界観を貫いたのはいい事だけど・・・」
ツイッターのアカウントへプロモーションとして、予告編が送られてこなければ観に行こうとは思わなかっただろう。それくらい作品の知識は無かった。シャーリーズ・セロン主演のアクション映画が公開されるのは知っていたが、まったくノーマークだった。今回の作品は「アトミック・ブロンド」です。

舞台は東西冷戦末期の1989年、ベルリンの壁が崩壊直前のドイツ。世界中に潜伏するスパイの極秘リストを隠し持っていたエージェントが何者かによって殺され、リストが奪われてしまう。リストの奪還と、裏切り者の二重スパイ「サッチェル」を見つけ出すよう命じられたMI6の凄腕の女性諜報員ロレーン・ブロートンは、各国の思惑がうごめくベルリンへと降り立つ。すでに以前から潜入調査をしていたデヴィット・パーシヴァルと合流し、任務を開始した彼女だったが、リストを手に入れようとベルリンではMI6、CIA、KGBなど各国のスパイが入り乱れ、争奪戦が繰り広げられていく。

最初に気になったのは日本の配給が角川で、アメリカでの配給会社及び製作会社が初めて聞くところだった。その段階で「これは壮大なB級映画なのかも?」と心配になった。主演はオスカー女優のシャーリーズ・セロン。協力者パーシヴァルを演じるのはジェームズ・マカヴォイ。脇を固める俳優陣も有名な人が揃っており、決してB級感は感じられませんでした。物語もスパイ映画独特の緊張感もあり、カーチェイス、派手なアクションシーンも満載で、新たな女性スパイ物映画としてシリーズ化を狙いたい思惑はわかります。

じゃあ面白かったのか?と聞かれると、まずは「最初のエピソードなのに複雑にし過ぎ。」と答えるでしょう。とにかく登場人物が多過ぎる。こういうジャンルの映画は誰が味方で誰が敵なのか?誰が本当の事を言い、誰が嘘を付いているのかを楽しむのが良いところだと思っています。だからこそ人数を絞り、その展開を観客に楽しませることが大事なのですが、この作品は第1作目でキャラクターや人間関係も理解出来ていないにも関わらず、とても多くのキャラクターが登場します。少ししか登場しない悪役や、情報屋などを含めると10人を超えてしまう。正直、私は鑑賞中に最初の「リスト奪還」と「サッチェル探し」を忘れてしまっていました。次々と登場する人物の顔と名前を一致させるだけで精一杯でした。

さらに舞台となったベルリンの壁崩壊前の1989年のドイツという設定にも疑問符が付きます。ネットで調べるとどうやらグラフィックノベルの実写化ということなので、それを忠実に守ったのかも知れませんが、日本人である私には当時のベルリンの状況がどれだけ混乱状態であったのか知る由もありません。さらにスマホも携帯もない時代。だからこそスパイが暗躍できたのでしょうが、なぜそんな時代設定だったのだろうと、ずっと考えてしまいました。

そんな風にいくつか低評価な部分を書きましたが、評価は★★★☆☆です。スパイ映画としての面白さは十分にあったし、アクションシーンも見事でした。だからこそ上記で述べたキャラクターの多さと脚本の複雑さをもう少し考えていれば、胸を張って「新たなスパイアクション映画の誕生だ!」と言えたのだろうと残念でなりません。演じていたキャストは脇に至るまで豪華だったので、あと少しだったと思います。それでもシリーズ化するのかな?

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マイティ・ソー バトルロイヤル

2017年11月07日 22時53分00秒 | 作品名(ま行)
第440回「問題なのは邦題だけだったということか。」
とにかく楽しみで仕方が無かった。「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」には不参加だった主要メンバーであるソーとハルクの2人が登場し、共闘して展開されるストーリーと聞けば、ワクワクしないわけがありません。さらに次回作「アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー」へ向けて、新キャラ、新ストーリーが展開されるので見逃すわけにはいきません。今回の作品は「マイティ・ソー バトルロイヤル」です。

地球でのウルトロンとの死闘のあと、不吉な夢の正体を解明すべく旅に出たソーは、炎のデーモンが住む世界「ムスペルヘイム」へとやってきた。その世界を統べる王「スルト」との激しい戦いになんとか勝利し、久しぶりにアスガルドへと帰ってきた。するとアスガルドは平和ボケになったオーディンによって怠惰な生活を送る世界になっていた。ソーは父王オーディンが偽物=ロキであると気づき、オーディンの居場所を問い詰める。なんとオーディンは地球の老人ホームへと送られていたのだった。急いで地球へ向かうとオーディンはすでに死の間近にあった。アスガルドへ帰ろうとするソー達だったが、オーディンはとある秘密を2人に打ち明けるのだった。それは彼らが生まれる前のアスガルド。2人の姉となる死の女神ヘラがいて、その残忍さと戦闘力によって9つの世界を征服しようとしていた。しかし、その強大な力に危うさを感じたオーディンはヘラを自らの力で封じ込めたのだった。そのヘラがオーディンの死によって封印が解かれるというのだ。それだけ語るとオーディンは光の粒子となっていった。と同時に暗黒の渦の中からヘラが現れた。彼女はアスガルドの王となると宣言しソー達に従えという。ヘラに戦いを挑む2人だったが、ソーの武器である「ムジョルニア」をアッサリと破壊され、ソーとロキは辺境の星サカールへと飛ばされてしまう。ヘラはアスガルドで着々と征服へと動き出す。サカールで捕虜となったソーはコロシアムで無理やり戦うことになった。そこで現れたチャンピオンとは、なんと2年前から行方不明だったハルクだった。

正直、今作の監督がコメディ出身のタイカ・ワイティティ監督と聞いて、ちょっと心配だった、なぜなら1作目は名優でもあるケネス・ブラナーが務め、宇宙を統べる神としての存在であるソー達を威厳と敬意のある神々として描いていました。笑いの要素はほとんど無いに等しかったからだ。今作を観終わって思ったのはちょっと笑いの要素が多いような気がするが、世界観を崩さないで見事に描き切っていたと思います。地球での経験で少し丸くなったと考えれば、今作でのあの無邪気なやり取りも不自然ではないのかも?と思える笑いでした。

それでもきちんと描くべきところは描かれていたし、ケイト・ブランシェット演じる死の女神ヘラは素晴らしい悪役でした。個人的には今作から登場のヴァルキリーは今後の別の作品や、マイティ・ソーシリーズにも継続して登場してほしいくらい魅力的なキャラクターでした。ただ残念だったのはお気に入りのあのキャラクター達があまりにもアッサリと退場してしまったのは、とても残念でした。

点数としては限りなく満点に近い★★★★☆です。次回作以降への伏線もきちんと張られていたし、それぞれのキャラクターも活躍の場もあり、見事に描かれていました。マイナス点は完全に場違いな邦題だけということです。「バトルロイヤル」という言葉は3人以上の戦士が同時に戦い、最後まで残っていた1人が勝者となるというもの。恐らく日本の配給会社は「ラグナロク」という一般的に馴染みの無い言葉よりもいいのでは?と考えたのでしょうが、一瞬だけ登場する闘技場から連想される言葉を選んだのは失敗だと思います。字幕にも2回ほど登場する言葉ですが、セリフでは聞き取れません。このブログで何度も言っていますが、今後ずっと残るものだけに、しっかりと考えて欲しいです。

本当に「ラグナロク」ではダメだったのだろうか?

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ブレードランナー2049

2017年10月29日 20時37分25秒 | 作品名(は行)
第439回「前作はこの続編を描くためにあったのではないか?」
「ブレードランナー」といえば、映画ファンであれば誰もが通る道だろう。作品の内容・評価はさておき、映画ファンを自負するのなら鑑賞しておくべき作品だと思う。かくいう私も幼い頃から幾度となく鑑賞してきだ。幾度となくというのは、この作品は公開後に、幾つものバージョンが存在する珍しい作品なのだ。劇場公開版、ディレクターズカット、ファイナルカットなど未公開シーンを加えたりして幾つものバージョンが存在する。その度に私は挑戦するのだが、結果は決まって負けるのだ。何に負けるのか?睡魔に・・・今回の作品は「ブレードランナー2049」です。

ここからの記述には物語の確信に触れる部分があります。個人的には知ったうえで鑑賞しても、全く問題ないと思うのですが、どうも公になっていないようなので、ご注意ください。


舞台は病気や貧困が蔓延し荒廃した、2049年のカルフォルニア。ロサンゼルス市警に所属しレプリカント(人造人間)を専門に追いかけるブレードランナーであるK。正式名称はKD9-3.7、そう彼自身もレプリカントなのだ。彼はとある任務で隠れ続けていた旧式レプリカントのサッパー・モートンが住む農場へとやってくる。抵抗する彼を「解任」し、上司に連絡をとるKだったが、彼が偵察させていたドローンが木の根元に埋まるコンテナを発見する。その中には30年ほど前に死んだと思われるレプリカントの骨格が納められていた。分析の結果、女性であり死因は出産の際に施した帝王切開が原因だとわかる。これは重大なことを意味していた。生殖能力の無いレプリカントが出産するはずはないのだ。もしそれが事実だとしたら、世界中を混乱に陥れることになる。Kはその謎を探るべく調査を開始するのだった。

書きたいことが多過ぎて、どこから話せばいいのか迷っている。前述したように「ブレードランナー」はもちろん観ています。しかし、劇中の独特な世界感。歪で陰湿な情景、不確かな会話劇により、私は睡魔に襲われ、しっかりと観た記憶がなかったのです。しかも今作の上映時間が2時間43分と聞いて、「これは無理かも・・」と思ったので、レイトショー前に昼寝をし、万全と思える態勢で、劇場へと赴きました。すでに睡魔に負けることを想定していました。ところが、あれほど魅力的に映らなかった前作とほぼ同じ情景なのにこの作品で私が睡魔に襲われることはありませんでした。

前作は人間とレプリカントの「禁断の恋」を描いた作品。今作はその後の2人に子供が出来たことで、人間側にとっては絶望の火種、レプリカント側にとっては解放となる希望の種を描いた作品。個人的には後者のほうが物語のテーマとしてずっと魅力的に映りました。そしてそのテーマをSFの世界観の中で見事に描いてくれました。久しぶりにこれは面白いと断言できる作品でした。

ネット上では賛否両論が渦巻いています。公開前にも本国アメリカでは興行的には失敗だという記事もありました。でも私はこの作品は傑作だと思います。前作は今作を描くために作られた前日譚だと言ってもいいくらいに思っています。そのくらいこの作品はSF映画の形を借りながら、とても壮大なテーマを描いているのです。

この作品で一番問題になるのが、レプリカント(人造人間)の定義についてです。前作で私もずっと悩んでいたのですが、多くのSF映画で人間に近い存在として、アンドロイドや人工知能(AI)、ロボット、クローンなどが描かれています。それらは人間に近いといっても、明らかに違いが存在します。しかし、今作に登場するレプリカントは限りなく人間だと思って観てください。だからこそ、人間との違いがほとんど無いのに、奴隷として扱われ、劣悪な環境で重労働を強いられ、さらには戦争の兵士となり消耗品のように扱われる。感情もあり、怒りや哀しみも感じる。なのに「人間もどき」と迫害される。なんだがどこかで聞いたことがある気がしませんか?数百年前まで同じ人間の間で起こっていたことが描かれているのです。個人的には前作で「恋愛」に焦点を当てることでそのテーマが少し解りにくかったのかもと思いました。今作は「家族」というテーマになったことで状況は複雑化したのですが、理解が容易になっていました。

ボロクソにこの作品を評価している人もいます。ですが、私の評価は★★★★★です。この作品は素晴らしい作品だと思います。いい映画の条件として鑑賞後にその映画について誰かに話したくなる。というのがありますが、この作品はまさにそれです。この作品を低評価している人に、「そこはこう考えたら?この表現はこうなんだよ。」と説明したくなる作品です。長い上映時間、独特な世界感、解りにくい設定。そんなところも含めて、私はこの作品を評価したいと思います。まだまだ残された謎や、伏線がいくつかありますが、安易に続編を作って欲しくないくらい素晴らしい作品でした。

最後にこの作品はあくまでSF映画です。人間を描き、家族を描き、人と人造人間の違いを描いていますが、サイエンス・フィクションです。それを楽しめるか否かが、この作品の評価の分かれ目なのかなと考えています。この作品を観て、つくづく私はSF映画が好きなんだと再認識させられました。

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