晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『依頼人(1994)』 80点

2010-07-13 10:20:49 | (米国) 1980~99 

依頼人(1994)

1994年/アメリカ

プロフェッショナルと母性愛の狭間

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

「ザ・ファーム法律事務所」「ペリカン文書」と原作が立て続けに映画化されたジョン・グリシャムの作品をジョエル・シューマッカーが監督。ところはエルビス・プレスリーの聖地で有名なメンフィス。マフィアに絡む秘密を偶然知ってしまった11歳の少年マーク(ブラッド・レンフロ)と1ドルで弁護を引き受けたサラ(スーザン・サランドン)の心のふれあいを描いたヒューマン・サスペンス。
車内でガス自殺しようとする男を目撃したマークが巻き込まれる冒頭のシーンは、ハラハラ・ドキドキのサスペンスタッチを充分味わえ、大いに期待できる。偶然上院議員の死体の隠し場所を知ってしまったマークは連邦検察官ロイ(トミー・リー・ジョーンズ)の証言要請に応えると母と弟の命に関わることを察知、弁護士を雇うことを思いつく。
マークの人物設定がなかなかいい。父親のDVDが原因でトレーラー・ハウス暮らしの一家は、27歳の若い母と8歳の弟の3人暮らし。自分は甘えたい年頃なのに児童と呼ばれることを嫌がる背伸びした悪ガキ。生意気な言動と愛らしい瞳がアンバランス。演ずるB・レンフロは5000人のオーディションで選ばれただけあって母性愛をくすぐる好演。25歳の若さで08年亡くなり、リバー・フェニックスと比較されたのもうなずける。彼の不幸はデビュー作が代表作となってしまったことだろう。
S・サランドンは2児の母親で親権を奪われた元アルコール依存症の女弁護士。わずか1ドルで弁護を引き受けた背景には自分の家庭問題と事件がオーバー・ラップしていたから。母性愛で引き受けながらプロフェッショナルとして法廷での駆け引きを駆使するサラの選択肢は狭間で微妙に揺れている。
アメリカの法曹界の構図も見え隠れする。それは連邦検察官に象徴される野心家であったり、金と成功を同義とする男社会である法曹界。女弁護士の範囲は限られていた。メンフィスという地方都市の黒人裁判官(オシー・デイヴィス)が威厳をもって裁く法廷劇は絶妙なバランスをみせてくれている。<連邦保証人保護プログラム>という制度で証人が守られるのもアメリカらしい解決策だ。
T・L・ジョーンズがどこか愛嬌ある憎めない敵役でいい味を出している。



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