晴れ、ときどき映画三昧

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『コレリ大尉のマンドリン』 80点

2010-07-03 16:43:47 | (米国) 2000~09 

コレリ大尉のマンドリン

2001年/アメリカ

美しい地中海の島で起きた戦争秘話

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

ルイ・ド・ベルニエール原作のベストセラーを「恋に落ちたシェイクスピア」のショーン・マッテンが監督。第二次大戦中で起きたギリシャ・ケファロニア島で起きた実話をもとにした島の娘とイタリア兵の恋物語。その実話とは’43イタリア降伏とともに同盟国ドイツ軍がギリシャ統治のイタリア兵9千人を銃殺したこと。この話をベースに島の娘・ペラギア(ペネロペ・クルス)とイタリア将校コレリ大尉(ニコラス・ケイジ)とのラブ・ストーリーが展開されるといえば、悲恋を想定するが良くも悪くも裏切られる。
エメラルドの海と碧い空、緑の山と土埃りの美しいケファロニア島。ヒロイン、ペラギアと医師の父、漁師の婚約者など貧しいがギリシャ正教の信仰厚い村人たちの穏やかな暮らしが繰り広げられる。この島は戦火と無縁に思えたがイタリア軍が侵攻して占領下へ。コレリ大尉の登場まで約25分ありN・ケイジのワンマン映画ではないのがわかる。原地ロケで臨場感溢れているのに違和感があるのはギリシャ・イタリア・ドイツと言葉の違う人々全員が英語の台詞のためだろう。ハリウッド映画の宿命である。
前半はラブ・ストーリー、後半は唐突に戦争ものへ。バランスが良くないのは脚本のせいか?ペラギアの半世紀にわたる人生を綴った長編小説を、125分の映画にする難しさがここかしこにうかがえる。コレリ大尉は実戦経験がなく「食べて唄って愛し合う」をモットーの明るく屈託のないイタリア人気質。ペラギアがコレリに惹かれる様子がマンドリン演奏のシーンだが、N・ケイジの健闘にもかかわらずいまひとつ感情移入しにくい。
栄えある?ゴールデンラズベリー賞主演女優賞を受賞した美しいペネロペ・クルス、ダンスシーンが素晴らしい。父のジョン・ハートは娘に「愛と恋」の違いを諭すなど、名台詞で見せどころがいっぱい。婚約者でパルチザンに入った漁師クリスチャン・ベールとその母イレーネ・パパス。独軍将校のデイヴィット・モリシー。いづれも個性豊かな豪華な俳優が脇を固めている。それぞれ見どころはあるが、エピソードとして映る印象で全体としてまとまりがなく、もったいない。
終戦後も内戦・大地震に苦しめられたギリシャ。その追悼の意味もあったのか終盤のシーンが付け加えられたのだろう。エンディングにろうろうと流れるラッセル・ワトソンの歌う「ペラギアの歌」がとてもよかったので、印象的な終わり方がほかにあったような気がする。



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