東京五人男
1946年/日本
エネルギッシュな終戦直後風刺コメディ
shinakamさん
男性
総合 75点
ストーリー 60点
キャスト 80点
演出 75点
ビジュアル 80点
音楽 75点
喜劇映画の巨匠・斎藤寅次郎による風刺コメディ。終戦と同時に企画され3ヶ月後に撮影開始し翌年1月に公開したというから驚きだ。
五人男とは当代人気コメディアンの古川ロッパ、エンタツ・アチャコ、石田一松、柳家権太楼。彼らが軍用工員から焼け野原の東京へ帰って、食うや食わずの生活から逞しく起ち上がる様子が歌ありコントありで繰り広げられる。流石に今観て大笑いするほどではないが、彼らが得意にしている笑いのネタが次々と披露される。
なかでも主役的な存在はノンキ節の石田一松。劇中でもお役所仕事を風刺したり、正義漢を発揮している。のちに代議士となって今で言うタレント議員第一号としてもその名が残っている。かなり説教臭く真面目な体制批判役を一手に引き受けているのも彼の持っている資質を見込んでのことか?
一世を風靡した漫才コンビ、エンタツ・アチャコが見せるコントはテンポの良さが後の芸能人のお手本となっている。売れっ子落語の柳家権太楼はあまり見せ場はなかったが、顔を観るだけで喜んだ客が多かったことだろう。
ひとり、孤高のコメディアンぶりを見せたのは古川ロッパ。エノケンと並んで喜劇王といわれ、特異の風貌とロイド眼鏡、華族出身らしい鷹揚さと声の良さで売ったヒト。ここでも子供と露天風呂に入りながら「お殿様でも家来でも、風呂に入ればミナ裸~」と朗々とした歌声を聴かせている。ほかにも極楽コンビの鳥羽陽之助と高勢実乗など当時の売れっ子も見られる。
なにより感心させられたのは円谷英一の特撮だった。富士をバックにしたSLの走行や、大雨が降り家が流されるシーンは戦後の混乱期とは思えぬ完成度に職人魂を観る想いである。
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