晴れ、ときどき映画三昧

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『エジプト人』 80点

2012-07-13 14:46:05 | 外国映画 1946~59

エジプト人

1954年/アメリカ

M・カーティス監督の技量を持て余したエジプト古代史劇

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

ミカ・ワルタリの長編スペクタル小説を「カサブランカ」など名作を手掛けた巨匠、マイケル・カーティスが監督した古代エジプト王朝史劇。
前33世紀、王の子として生まれながら棄てられ養父母に育てられた「医師・シヌへの物語」。
プロデューサー、ダリル・F・ザナックの肝いりでマーロン・ブランドを主役に据えるべく準備を進めたが頑なに断られ、やむなく新人エドマンド・バードムを起用した。ジーン・シモンズ、ヴィクター・マチュアなど競演者が豪華な割にインパクトに欠けるきらいは否めないが、良く頑張っている。
波乱万丈の男の生涯を139分にまとめた力量はなかなかのものだが、脚本のせいかプロデューサーの意向なのかとてもアンバランスな構成が目立つ。
成人したシヌへと近衛隊長ホレムヘブ(V・マチュア)との友情、シヌヘを慕う酒場の女メリト(J・シモンズ)や召使の奴隷カプタ(ピーター・ユスティノフ)の絡みがある序盤は好調だが、バビロンの高級娼婦ネフェル(ベラ・ダーフィ)との絡みあたりからテンポが悪くなる。ネフェル役はあのマリリン・モンローが執心した純粋なシヌへが初めて知った恋の相手で、人生を狂わせる重要なシークエンスだが異様に長くアンバランス。ネフェル役のB・ダーフィーがザナックの愛人だったからというのは納得。M・カーティス監督の技量をもってしても仕上がりが中途半端で晩年の扱いが尻切れトンボだった。
とはいえ一大スペクタルとしての醍醐味は充分味わえ、バーナード・ハーマンとアルフレッド・ニューマンの音楽は古代王朝絵巻を飾るに相応しい壮大さと優雅さを備えている。
日本では評価はあまり高くないが、一見の価値は充分ある。



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