晴れ、ときどき映画三昧

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「ダンケルク」(17・米)75点

2018-04-02 16:27:54 | 2016~(平成28~)

・ 観客を巻き込む臨場感溢れるドラマに挑んだC・ノーラン監督の意欲作。




「ダークナイト」(08)、「インセプション」(10)のクリストファー・ノーラン監督による第二次大戦での救出作戦<ダイナモ作戦>をもとに描いたサバイバル・アクション。

1940年5月仏北部の港町ダンケルク。若き英国兵のトミーはビラが舞い落ちる無人の街中で突然銃撃を受け、必死で逃げ回っていた。ひとりだけ生き残りたどり着いた海岸には、大勢の兵士たちが救助の船を待っていた。

英首相チャーチルが英・仏連合軍40万人の救出に向け、輸送船・駆逐艦そして民間船舶も動員した作戦のエピソードを陸の一週間、海の一日、空の1時間の同時進行で描いた群像ドラマのスタイル。

英国人のノーマンにとって、<陸海空において神が我々に与えた全ての力を用いて戦う。決してあきらめるな!>というチャーチルの名言はダンケルク・スピリットとして深く身に沁みついていることだろう。

当然感動のドラマとして描くことはできたが、それを避け映像で観客を巻き込み戦場にいるような極限状態での臨場感を味わうことで、戦時下での人間の無力感や生きることの大切さを実感してもらうことに全エネルギーを注いでいる。

そのためIMAXのフィルムを使用し、リアルな大音量と途切れない緊張感を醸し出すタイマー音などが効果的だ。

出演した俳優もトミーに扮したフィオン・ホワイトヘッドを始め若手は無名に近い俳優を起用、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー、マーク・ライアンス、トム・ハーディなど著名な俳優を随所に配した鉄壁なキャスティングだ。

随所に英国賛歌が織り込まれJ=ポール・デルモンド、C・ドヌーブ主演の同名映画「ダンケルク」(64)のフランス兵の悲劇とは大分趣きが違っている。

なかでもスピットファイア戦闘機は本物を使ての空軍パイロットの大活躍ぶりや民間船舶で救助に向かうさまは英国賛歌そのもの。

感動のドラマを避けたかったノーマンには商業映画として成功するための葛藤が見え隠れする作品ともいえる。

「メメント」(00)以来、筆者を惹きつけてやまないノーマン監督。これからもその多才ぶりで驚かせて欲しい。





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