晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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「夜叉」(85・米) 80点

2013-07-27 17:46:16 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

 ・男の哀愁を漂わせる健さんの魅力満載。



 「駅・SUTATION」(81)、「居酒屋兆治」(83)に続く降旗康男監督・高倉健主演・木村大作撮影トリオによる男の哀愁漂う物語。

 若狭の漁村で静かに暮らしている修治(高倉健)には、若いころ大阪・ミナミで<夜叉の修治>と名を売っていたという秘密があった。知っているのは妻の冬子(いしだあゆみ)とその母(音羽信子)だけで、仲の良い啓太(田中邦衛)すら知らなかった。

 突然現れた飲み屋の女将蛍子(田中裕子)にも無関心を装うが、ヒモの矢島(ビートたけし)が後を追ってきて事件を起こし、巻き込まれてしまう。

 身体に沁み付いたヤクザの名残りを漂わせながら、地道な生活と葛藤する役は高倉健にとって、まさにはまり役。ヒロイン田中裕子の薄幸な色気漂う演技も適役で、年齢差は気にならない。2人の名場面は冬の若狭の風景に溶け込んだ<赤い衣装>が鮮やかで印象的。

 ビートたけしは、どうしようもないチンピラ役を殆ど地ではないかと思わせるほどの好演。のちの「世界のたけし」の原点を垣間見る想い。

 佐藤允彦の音楽、トゥーツ・シールマンスのハーモニカも一層効果を盛り上げている。